1.核兵器の進化
 東西冷戦体制のもと、各国の核開発競争はとどまるところを知らず、1985年ころまでに核保有5か国によって蓄積された核兵器の総量は、爆発威力にしてTNT火薬22,000メガトン(220億トン)分と推定され、これは、広島型原爆の147万発に相当するものであった。単純計算すると、約2千億人の死者をもたらし、地球上の人類を35回以上殺せることになる。
 また、技術的にも飛躍的な進歩を遂げ、特にミサイル誘導技術が改良されて命中精度が上がり、核兵器の威力は著しく増大している。1991年1〜3月、中東のペルシャ湾周辺における湾岸戦争で使われた巡航ミサイル(CM)トマホークは、核弾頭を搭載できるとともに、コンピュータに目標地点までの飛行経路が記憶されており、自動的に進路を修正しながら飛び、ほとんど正確に着弾する。
 核兵器運搬手段としても、敵のレーダー電波を反射しないように特殊加工を表面に施した「ステルス(stealth)」爆撃機や、密かに海中から弾道ミサイルを発射できる潜水艦などが開発されている。
 50年に及ぶ核兵器開発競争は、小型化、運搬手段の長射程化、命中精度の向上と複数弾頭化、戦略・戦術核兵器の多様化の道を進んできたのである。
1997年春にアメリカが新たに開発・配備した地表貫通型核爆弾B61-11
写真提供/NHK
核弾頭の保有数
出典/SIPRI 2012