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小溝泰義平和首長会議事務総長 発言
核兵器禁止条約の制定交渉会議3月会合 ニューヨーク 2017年3月29日
議長、発言の機会をいただき感謝申し上げます。 核兵器の法的禁止に関するこの度の歴史的な交渉に対し、平和首長会議を代表して改めて強い支持を表明いたします。 我々は、162ヵ国・地域の7,200以上の都市が加盟し、その総人口は10億人を超える国際的な組織です。 核兵器の法的禁止は、核兵器のない世界の実現を目指す上で転換点を生み出す重要な一歩です。

この歴史的な交渉への支持を表明するため、本日ここに、米国における207の平和首長会議加盟都市のリーダーを務めるアイオワ州デモイン市のフランク・カウニー市長もお越しくださっています。

核兵器廃絶を訴え続けてきた広島・長崎の被爆者は今回の交渉の成功を心から願っています。

平和首長会議はこれまで、この歴史的な交渉に至るプロセスに積極的に関わってきました。 国連文書「A/62/650」に掲載されている「モデル核兵器禁止条約」のような包括的な核兵器禁止条約を長年にわたり推進してきており、引き続きそうしたアプローチを支援していきます。 しかし、最近の議論においては、市民社会や非核保有国の間で、いわゆる「禁止先行条約」への支持がますます高まってきており、全世界的な核兵器廃絶に向けた動きを加速させるために必要なアプローチであると考えられていることが分かります。 今回の交渉会議ではこの点が焦点となっておりますので、我々は、そうした「禁止先行条約」アプローチを支持します。 その上で、これを補うものとして、総合的な取組についても引き続き追求していく所存です。

私の理解では、包括的な禁止条約の提案とは異なり、「禁止先行条約」アプローチにおいては法的な禁止を確定することに集中し、検証等その他の面は対象外としています。 一方、禁止の範囲は包括的であり、核兵器の使用や使用の威嚇、開発、製造、実験、保有、備蓄、配備、移譲などが含まれます。 これらの禁止規定は(全ての国に)無差別にかつ例外なしに適用されるべきものです。

「禁止先行条約」アプローチを成功に導くためには、国連加盟国の間で立場が分断化している事情から生ずるいくつかの課題を考慮する必要があります。 2017年3月14日、平和首長会議が国連文書「A/CONF.229/2017/NGO/WP.4」として提出した公開書簡でも述べたように、今回の交渉を通じて達成される核兵器の法的禁止は、核兵器の廃絶をもたらす実効性のあるものとしなくてはなりません。

本日は時間も限られておりますので、先に提出した公開書簡から踏み込んで、「禁止先行条約」アプローチについての具体的な課題と、交渉成功に向けた我々の提案についてお話したいと思います。
核保有国及びその傘の下にある国々は、このたびの交渉に反対を表明してきました。 彼らは、核兵器のない世界という目標は否定しないものの、安全保障状況を理由として核兵器禁止の環境は整っていないと主張し続けています。 35ヵ国が先の総会決議「71/258」に反対票を投じ、おそらくその殆どが今回の交渉をボイコットすることが予想されます。

100ヵ国以上の非核保有国が「禁止先行条約」を批准したとしても、核兵器に依存する国々の多くが参加しなければ、締約国の枠を超えた一般国際法上の法的拘束力は持たないでしょう。

核軍縮の歴史から判断するに、核保有国は検証措置のない法制度に参加することはないでしょう。 核の傘の下にある国々についても同様のことが言えます。

こうした懸念に対応するため、我々は以下の提案をします。 第一に、禁止を厳格かつ徹底的なものとする一方で、状況の進展に応じて条約を拡充する余地を残すための一条項を作成すべきです。 この条項をどの程度具体的なものにするかは交渉の中で決定すべきことですが、少なくとも、後日追加条項を条文化する可能性を規定し、検証、環境保護対策、補償等の関連項目にも対応しうるものとすべきです。 これらは、禁止条約を効果的に施行するための強化策として、また、禁止条約の本質を揺るがすことなく、より多くの国の参加を促すための措置として必要です。 将来、条項や議定書を追加できるように、実際的な条件を定めておく条項が必要なのです。

第二に、締約国間の協議のための仕組みを設けるべきです。 NPT再検討会議の第6条に関する検討メカニズムを活用してもよく、禁止条約のための独自の仕組みを設けてもよいと思います。 このような協議の仕組みを通して、締約国は条約の現状や、さらに批准国を増やす方法、条項を拡充し、効果的に施行する方策などを検討することができます。 非締約国のオブザーバー参加や市民社会代表の参加も認められるべきです。

最後に、こうしたプロセスにおいて市民社会の後押しが不可欠であることを強調させていただきます。 核兵器のない世界という目標を否定する国は存在せず、核抑止の体制が現今の安全保障の課題解決には無力であり、かつ失敗すれば壊滅的な結果につながる受け入れがたいリスクの源です。 これらの事実は、核兵器に依存する国々に対し、核兵器の禁止に対して前向きな姿勢で臨むよう促す十分な根拠となります。 我々の提案は、そうした変化を後押しするものであると信じています。

我々平和首長会議は、心ある市民社会のパートナーと協働し、核保有国とその傘の下にある国々に対し、核兵器のない世界実現に向け、リーダーシップを発揮するよう引き続き求めていきます。 この歴史的な目標を達成するその日まで、我々も共にたゆみなく努力を続けて参ります。
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