シリーズ講座
「広島の平和思想を伝える」
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被爆65周年となった昨年度から、平和を希求し核兵器の廃絶を願うヒロシマの思想を生み出してきた先人の考えや行動を知り、後世に伝えていくため、シリーズ講座「広島の平和思想を伝える」を開催しています。
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第3回目は、2月5日(土)、本財団が事務局を務める「被爆体験証言者交流の集い」平成22年度(2010年度)第2回研修会と連携して開催しました。
「長田 新と原爆の子」をテーマとする長田 五郎・横浜市立大学名誉教授の講演と映画「原爆の子」の上映を行いました。
平成23年(2011年)は『原爆の子』発刊60周年、長田新氏没後50年という節目の年にあたることから、
講演ではご子息の長田五郎氏を講師に迎え、平和を築くことを最高の徳と考える人間を育てることが重要だと考えていた父・長田新氏の『原爆の子』編纂における思いや苦労、
この体験記を通して世界に与えた影響などについてお話しいただきました。
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講演される長田五郎氏
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長田 五郎氏は、8月6日、広島の自宅で新氏とともに被爆しました。
平和主義者である父・新氏は、戦時中、軍服を着ず、背広にステッキ姿で広島文理科大学に通勤していたそうです。
入浴後に縁側でくつろいでいた時に被爆し、
ガラスの破片等で全身50ヵ所の切り傷を受け、瀕死の重傷を負われましたが、
五郎氏の必死の救護により、奇跡的に一命をとりとめられたそうです。
また、朝鮮戦争の最中、プレスコードが厳しかった頃、父・新氏は病床に伏しながらも、いかなる時も原爆は二度と使ってはいけないと主張し続けられたそうです。
長田新氏の「魂で築かれたものは永遠に後世に伝えられる」という強い願いのもと編纂された『原爆の子』は、14の言語に翻訳され世界中で読み継がれています。
当日は300名の来場があり、会場は満席でした。
参加者からは、「『原爆の子』を広く世界に広めよう」、「感動した」、「この講座で『原爆の子』に興味が沸いてきた」などの感想が寄せられました。
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第4回目は、6月4日(土)、「ヒロシマ・ピースフォーラム」第3回と連携して開催しました。
「原田東岷の思想『生命への畏敬』と平和活動」をテーマとする
和田 努・医療ジャーナリストの講演を行いました。
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講演される和田勉氏
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原田先生は、被爆した女性たちとともに訪米し、渡米治療に道を開くとともに、ベトナムでナパーム弾により障害を負った少年を広島で治療するなど、地道な活動を重ねられました。
原田先生の行動を支えたのは戦争への憎み、平和への希求でした。
和田氏は、原田先生の行動と思想を追いながら、ヒロシマと平和の意味を考えつつ、当時のエピソードも交えて講演されました。
講演会には広島市民だけでなく、尾道市、東広島市などから駆け付けた人を含め、約250人の来場がありました。
参加者からは、「原田先生、初代の広島原爆病院長の重藤先生と直に接された経験に基づいた講演は、真に迫っておりよく理解できました」、
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「原田先生がされた平和活動に、医師としての使命を感じました」、
「平和を損なう種は一人一人の心の中にあるという言葉が心に残りました」、
「もっと詳しく原田先生がされた活動について話を聞きたかったです」といった様々な感想が数多く寄せられました。
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(平和連帯推進課・平和記念資料館 啓発担当) |
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