平和について思う
ワールド・フレンドシップ・センターと共に
特定非営利活動法人ワールド・フレンドシップ・センター 理事長 山根 美智子
プロフィール
〔やまね みちこ〕

2012年、WFC理事長に就任。
1987〜1990年、香港在住時に香港赤十字病院とベトナム難民キャンプでボランティア活動。 1994〜1995年、米国在住時にホームレスやお年寄りのためのボランティア活動。 2001年、外務省支援の“「癒しと和解」の旅”に参加し、日本軍の捕虜となった元英兵と交流。 2010年には3人の被爆者と共に通訳の1人として米国ミズリー州の大学を訪問。
WFCから平和交換使節としてこれまで米国、ドイツ、ポーランド、韓国に派遣された。

私がワールド・フレンドシップ・センター(WFC)に関わって30年以上が経ちました。 30代前半から子育てをしながらWFCに通い続け、自分自身もその間大きく成長できました。 被爆証言の通訳や平和公園の碑めぐり等のボランティア活動を通じて、海外からの素晴らしい人々に出会い、世界に視野を拡げることができました。 創立以来、約40組の館長達がアメリカからWFCに派遣されました。 その内、私が出会った館長は25組に及びます。 どの館長も、それぞれ性格・特技は様々ですが、皆さん平和主義者で、強い奉仕の心を持ち、その働きぶりにはただ感嘆するばかりでした。
  2012年5月に私が3代目の理事長に任命されました。 それ以来、日常の活動以外に、One World Peace Concert開催、シュモーハウスの開館、米国での日系人強制収容を描いたBreaking the Silenceの上演などの大きな行事がありました。 そして昨年の4月には、WFC創立50周年というとても重大な節目を迎え、海外から元の館長や故バーバラ・レイノルズ氏の家族など27名を迎え、式典を含め1週間にわたる記念行事を行いました。
  この夏には中近東の国々から、中高の先生方を迎え、広島での宿泊のお世話や平和学習などのお手伝いをすることになっています。

バーバラ・レイノルズとワールド・フレンドシップ・センター
  米国人バーバラ・レイノルズは、1951年、原爆傷害調査委員会(ABCC)の研究員であった夫アールと共に来日し、広島に暮らし始めました。 アメリカによる原爆がもたらした被爆の惨状に彼女は大きな衝撃を受けました。 被爆者の悲しみ苦しみを共有し、「私もまた被爆者です」の言葉を残しています。 2011年に平和記念公園の一角にバーバラの碑が建立されましたが、その碑文にもこの言葉が刻まれています。
  1962年に2人の被爆者を連れて核保有国を巡り、また1964年には被爆者、教師、医者、通訳者など42人を連れて米国、カナダ、英国、ヨーロッパなど8か国を平和行脚(あんぎゃ)し、核兵器廃絶を訴えました。 1965年、平和活動家の原田(はらだ)東岷(とうみん)と共にWFCを設立しました。 1975年には、核兵器廃絶運動に尽力しヒロシマを世界に知らしめた功績により、広島市特別名誉市民の称号を授与されました。
WFCの主な活動紹介
被爆証言
  WFCは世界各地からの宿泊客を受け入れ、希望があれば被爆証言を提供しています。 被爆者の方は、「二度と同じような苦しみを他の人に味あわせたくない」という気持ちで、自らの体験を語られています。 私も長く被爆証言の通訳のお手伝いをしてきました。 被爆者の方の平均年齢が80歳を超え、被爆者の方から直接、体験を聞ける貴重な時間は限られています。 WFCにとっても、今後どうするかは重要な課題となっています。
碑めぐり
  英語で案内しながら、平和公園の重要な碑を1時間半ぐらいかけて説明しています。 そのための勉強会も毎月1回開いています。
平和交換使節(PAX)
  バーバラが1962、64年に実施した平和巡礼が、PAXの基礎となっています。 アメリカ、韓国との間で平和使節交換プログラムがあります。 人と人とが出会い話し合えば、そこに相互理解が芽生え、友情が生まれます。 友情が戦争を防ぐというのがバーバラの考えです。 韓国PAXは2003年から始まり、お互いの過去の歴史を学び、平和構築について学びあう素晴らしい機会を提供してきました。
むつみ園慰問
  1985年から月1回、第3木曜日に、館長や英語クラスの仲間と一緒に原爆養護ホームを訪問しています。 むつみ園は日本で一番古い原爆養護ホームで、1970年に舟入(ふないり)病院の隣に建設されました。 約100人の入居者の皆さんはとてもお元気で、私が腹話術の相棒を連れて行くと喜んでくださり、一緒に歌を歌ったり、ゲームをしたり、お話をしたり、その月生まれの方の誕生祝いなどをしています。
その他の活動
  アメリカ人館長による英会話クラス、原爆関係の本などを訳す翻訳クラス、原発問題などを勉強するピース・セミナー、月1回集まって合唱練習をするピース・クワイアー、年に3、4回の機関紙「友愛」の発行、クリスマス会、英語で楽しい時間を過ごす月1回の「ファン・タイム・イン・イングルシュ」などがあります。 WFCは退屈しない所です。

(2016年2月寄稿)
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