国連で核兵器禁止条約の制定に向けた交渉会議が始まります
 昨年の12月23日に、国連総会は核兵器を非合法化して廃絶することを目指し、今年3月と6・7月に「核兵器禁止条約」の制定に向けた交渉会議を開催すると定めた決議案を賛成多数で採択しました。 核兵器の法的禁止は「核兵器のない世界」への重要な転換点になり得るもので、被爆者の切なる願いの実現への第一歩を踏み出すものと期待されています。

 平和首長会議の松井(まつい)会長(広島市長)は、決議採択直後に、公開書簡で核兵器保有国や核の傘の下にある国を含む全ての国がこの交渉会議に積極的に参加し、真摯(しんし)な姿勢で「核兵器禁止条約」の制定に取り組むよう要請するとともに、加盟都市にはこのメッセージを広く伝えてもらうよう依頼しました。

公開書簡(抜粋)
 「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」 と訴えてきた広島・長崎の被爆者の切実な願いに対し、国際社会の多数派はこの決議をもってようやく応える形となりました。 超党派組織である平和首長会議は、この歴史的な決議を心から歓迎し、全ての国に対し、この会議に積極的に参加し、真摯な姿勢で議論に取り組むよう要請します。
 現存する15,000発以上の核兵器のほとんどは広島・長崎に投下されたものとは桁違いの威力を持っており、アメリカとロシアがその90%以上を保有しています。 それらは都市と人間に容認しがたい脅威をつきつけています。 核保有国は、かつてないほど世界の紛争地域における直接的な軍事衝突に近づいており、ウイリアム・ペリー元米国国防長官が 「核兵器による大惨事が起こる可能性は冷戦時よりも高い」 と評する事態になっています。
 こうした危険な状況にありながら、世界の安全保障体制は、相互不信を背景に「核抑止力」という核兵器使用の脅しとそれに伴う言語に絶する恐怖にいまだ大きく依存しています。 しかし、核抑止政策は、現在の安全保障の課題に対して有効な解決策を提供することはできません。 核兵器は、テロの防止や、テロへの対処の役には立たず、むしろその存在により、新たな使用のリスクを日々高めています。
 また、国際情勢が混迷を深め、不透明性を増す中で、経済・外交両面で保守的・排他的な考え方が広がっています。 そうした状況の中にあるからこそ、各国が違いを乗り越えて共通価値を創り出す粘り強い対話と協力により問題を解決していくことが肝要となります。 核兵器廃絶をめぐる議論も例外ではありません。 今回の決議では、ほとんどの核保有国と「核の傘」の下にある国々は決議に反対しましたが、国際社会の多くの国々が抱く切実な危機感を軽視すべきではありません。 核保有国を含めすべての国が交渉に参加することによって信頼醸成と建設的関与の機会が生まれ、国際的な緊張緩和へとつながるでしょう。 核保有国及びその核の傘の下にある国々には新たな発想と果断なリーダーシップを期待します。
 我々は、ニューヨークの国連本部で開催される会議の場において、各国代表が協力的な対話を積み重ね、政治的な立場や意見の相違を克服することで、核兵器のない世界に大きく歩を進めることを要請します。



 平和首長会議のリーダー都市の1つである米国・デモイン市のカウニー市長が今年1月の全米市長会議で協働を呼び掛けました。
 全米市長会議として、一貫して核兵器廃絶を訴えてきたという実績をいかに
活用し、米国政府を交渉のテーブルに導き、軍事費を人々が真に必要として
いる事業のための支出へと転換できるかが我々が抱える課題です。
 皆様にぜひお願いしたいのは、私や7千人余りの市長の仲間となり、2020
年までの1万都市加盟という目標の達成に力をお貸しいただきたい、というこ
とです。 そして、貴市において、核兵器の人道的影響・財政上のコストについ
て、核兵器国間で戦争の危険性が高まっていることについて、また、世界の核
兵器廃絶交渉にアメリカが誠意を持って対応することが緊急に求められていることについて、啓発活動を行っていただきたいと思います。
 我々市長には、市民の安全を守るという基本的な責任があります。 核兵器の問題について、トランプ大統領には、我々市長の意見に耳を傾け、我々が戦争よりも希望、夢、次世代の可能性に力を注げるよう支援してもらいたいと思います。

(平和連帯推進課)

(訂正) 紙面では本記事の一部に誤りがあります。お詫びして訂正します。
誤:米国・デモイン氏 ⇒ 正:米国・デモイン市

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