マーク・マクフィリップスさん
今年8月末まで広島平和文化センターの国際交流・協力課に常駐していた、広島市国際交流員のマーク・マクフィリップスです。
イギリス・マンチェスター出身です。
サッカーの本場の出とはいえ、実はスポーツは苦手な方で、むしろ語学の方に子どもの頃から惹
(ひ)かれ、大学に入って日本語・中国語を専攻しました。
そのため19歳の時に生まれて初めての海外滞在として東京に1年留学し、卒業後には広島で就職できました。
東京での留学と広島での仕事、まるで2つの日本を体験したように思うことがあります。
今も身の回りには賑
(にぎ)やかな都内に憧れて広島から離れる友人もいますが、私は丁度いい大きさの広島で満足。
都会の便利を享受しつつも、山も海もすぐ行くことができ、自然を身近に感じています。
日常生活の話はここまでにしますが、広島に移住してきたイギリス人として、取り上げずには済まないことが、被爆の歴史です。
何も知らない状態で来た訳でもないのですが、この地に来て、初めて平和記念資料館などへの訪問や被爆体験を語る英文のネイティヴチェックをさせていただくことによって、恥ずかしながら漠然としていた理解を深め、初めて「リアル」に感じ、広島の思いを受け止めました。
その意味では、「平和」には「知る」ことが大事だと思います。
国際交流・協力課に配属された当初は、「なんで平和関連財団に国際交流の部署が?」と思うことがあり、主な業務だった学校訪問がどこまで意味があるか気になっていましたが、やはり早い段階で子どもに外国人を身近な存在として感じてもらえれば、その後の偏見や「他人化」する(例えばまるで相手を同じ社会の構成員でないかの如く扱ったり、他人行儀に扱う)ような考え方には結びつかないでしょう。
相互理解の不足が紛争の原因になることは、それぞれ違う文化で育った外国人市民同士の友達の間の喧嘩
(けんか)から、民族間の偏見まで、様々な場面で見えてくると思います。
少子高齢化と外国人材受入れが進む中、変化し続けてきた日本は、これから更に変わっていくはずです。
日本社会が多様になっていくに伴い、異文化コミュニケーション能力の向上や多文化共生の価値観を根付かせること、そして外国人を他人化するような考え方からの脱却が、重要になってきます。
そうした中、個々の市民や市民を支える行政に最も求められるのは、「柔軟性」、「革新性」(新たな社会の変化に柔軟に向き合うこと)だと思います。
(令和3年8月)