和文機関紙「平和文化」No.208, 令和4年1月号

記憶を伝える海外の博物館と結ぶオンラインイベントを開催

―コロナ禍における海外博物館とのネットワークの強化―
 広島平和記念資料館では、海外博物館とのネットワークを強化するため、核兵器保有国等での「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」開催に合わせて、平和をテーマとした博物館を訪問し、核兵器廃絶や世界恒久平和を目指した取組を共同で展開するなどの連携策について、協議・調整を進めています。
 この一環として、米国・ロサンゼルス市にある全米日系人博物館の日本語渉外担当の三木昌子(みき まさこ)氏をスピーカーに迎え、「記憶を伝える海外の博物館と結ぶオンラインイベント」を昨年9月18日に開催しました。 10代から90代まで約190人が参加しました。
 全米日系人博物館は、日系アメリカ人の歴史と経験を伝えていくことにより、米国の民族や文化の多様性に対する理解を深めることをミッションとして、1992年に開館し、2019年には、ロサンゼルス市で初となる広島市・長崎市共催のヒロシマ・ナガサキ原爆展を開催しました。 同館が所在するカリフォルニア州には、明治時代から多くの広島県民が移住しており、原爆投下後には広島の被災状況を知った同州の広島県人会を中心とした人々から多くの支援物資や義援金が届けられるなど、広島と深い繋つながりがあります。
全米日系人博物館について紹介する三木さん
全米日系人博物館について紹介する三木さん
 オンラインイベントでは、「現在につながる日系アメリカ人の歴史」と題して、日本からアメリカへの移民の始まりから、第二次世界大戦下の強制収容・戦後補償を含む日系アメリカ人の歴史、そして、パンデミックの中でのアジア系に対するヘイトクライムなど現在も続く課題のほか、同館での原爆展の反響等について三木さんからお話しいただきました。 また、同館のバーチャルツアーも実施され、最後には、参加者との質疑応答の時間もありました。
 参加者からは、「日本人の米国移住から第二次世界大戦を経て現在に至るまでのことを、これほど詳しく学べたことはありませんでした。熱意のある講演は分かりやすく、心に届くものでした」、「事実を伝える、残すことの大切さを改めて認識しました」などの感想が寄せられました。 また、「海外と広島を結んだオンラインイベントをこれからも行ってほしい」などの要望も多くありました。
 本イベントを通して、参加者の方々に、歴史を語り継ぐことの重要性について改めて考えていただく機会を提供することができました。
 平和記念資料館では、引き続き、平和をテーマとする海外の博物館とのネットワークを構築し、平和のメッセージを広く発信していきます。
(平和記念資料館 啓発課)
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