第5回広島平和記念資料館展示検討会議 平成23年(2011年)3月25日(金)午後2時〜 広島平和記念資料館東館地下1階 会議室(2) |
次 第
1 開 会
2 議 題1 「観覧後の心情に配慮した場」、「平和記念公園の解説」
「企画展示」、「ミュージアムショップその他」について
資料1 本館配置図
資料2 東館1階、3階配置図
資料3 「観覧後の心情に配慮した場」
資料4 「平和記念公園の解説」
資料5 「企画展示」
資料6 「ミュージアムショップその他」
3 議 題2 展示全体について
4 閉 会
資料1 |
本館配置図
資料2 |
東館1階、3階配置図
(東館1階)
(東館3階)
資料3 |
観覧後の心情に配慮した場
1 基本計画での整備方針と展示内容
(1) 目的
来館者は、被災写真や犠牲者の遺品あるいは核兵器の危険性や広島の歩みなどを観覧し、心理的な衝撃を受け、様々な感情を抱く。このような心情に
配慮し、気持ちを和らげ、整理したり、平和への思いを行動に移してもらうことができる場を整備することを目的とする。
(2) 対応策
観覧後の来館者の心情に配慮して、2つの空間を整備する。
ア 感情を整理し平和について思いを巡らす空間の機能と整備方針
○来館者が人間の視点からの被爆の実相に関する展示ゾーンを観覧することにより生じた、つらい、悲しい、泣きたい、許せないなどの様々な感情を表
し、整理することのできる場とする。
○来館者が様々な思いを巡らせたり、静かに考えたり、犠牲者に思いを寄せたりすることのできる場とする。
○開放的で、落ち着いた雰囲気の中、来館者の気持ちを和らげる場とする。
○案内や解説などの情報をできるだけ少なくし、また過度の装飾のないシンプルな場とする。
○配置場所
本館「被爆の実相(人間の視点から)」を観覧した直後の空間であり、平和記念公園の眺望を生かすことができる本館のギャラリー部分に配置する。
イ 表現したり人とのふれあいができる空間の機能と整備方針
○来館者がすべての展示を観覧後、平和への思いを新たにすることができる場とする。
○書く、読む、話す、調べる、伝えるなど、来館者が観覧後に抱く多くの要望にできるだけ応える場とする。
○メッセージや手紙を書く、人と話す、折り鶴を折るなどの行動に対応できるよう、机やイスなどを配置する。
○インターネットでの検索、電子メールの送受信のためのパソコン配備や公衆無線LANのアクセスポイントの設置などを行う。
○書籍やはがき、折り紙などをスムーズに入手できるよう、ミュージアムショップとの連携を 意識した配置とする。
○退館後に平和記念公園内の慰霊碑巡りや被爆建物などの関連施設の観覧を行ってもらえるよう、他施設の利用案内などを提供する機能も持たせる。
○配置場所
常設展示を観覧した最後の空間となる東館1階に配置する。ミュージアムショップや企画展示と連携した配置とする。
ウ 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館との連携
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(以下「追悼平和祈念館」という。)にある平和祈念・死没者追悼空間(以下「追悼空間」という。)は、原爆死没者
を追悼したり、様々な感情を整理し平和について思いを巡らすことのできる場である。平和記念資料館に整備する「観覧後の心情に配慮した場」との連
携を図ることで、来館者の様々な思いにより一層応えることができる。このため、平和記念資料館の出入口付近での誘導案内表示の工夫や、両館を結
ぶ通路整備の可能性やその通路のネーミングなどについても検討する必要がある。
(3) 観覧後の心情に配慮した場
フロア | テーマ | 主な内容 | |
本館2階 | 感情を整理し平和について 思いを巡らす空間 |
平和記念公園、原爆死没者慰霊碑、原爆ドームを眺望しながら観覧後の感情を整理し、平和について静かに思いを巡らす場 |
|
東館1階 | 表現したり人とのふれあいが できる空間 |
観覧後の気持ちを文章や絵などで表現したり、会話することができる場 原爆や平和に関する情報を入手したり、知識を深めたりすることができる場 |
2 事務局気づきなど
(1) 感情を整理し、平和について思いを巡らす空間
○ギャラリー部分は本館の展示を観覧した後、渡り廊下、東館へと移動する通路にもなっている。その場所で、「感情を整理する」、「静かに考えたり、犠牲者
に思いを寄せたりする」ことなどをどのように実現し、通路の機能と両立させるか検討する必要がある。
○落ち着いて感情を整理し、平和について思いを巡らすことができるよう、椅子などを配置することが考えられる。
○椅子を配置する場合は、配置する数やデザイン、1人掛けか複数人掛けかなど検討する。
○ギャラリー部分は、外からも見通せる空間であるため、椅子を配置する場合は、景観にも配慮したデザインを検討する必要がある。
○来館者に意図を持って設置している空間であることが伝わるような工夫が必要となる。
○ギャラリー部分の通路幅が約2.5m〜4.5mであり、車椅子やベビーカーなどが通行できる通路幅を確保する必要がある。
○平和記念公園を望むことができる東館3階北側のスペースを活用することも考えられる。
*現在の本館ギャラリーの展示内容の見直し
展示内容 | 更新後の設置場所(案) |
市民が描いた原爆の絵 | 本館展示室 |
被爆者証言ビデオ | 東館 |
平和記念公園の解説 | 本館ギャラリー |
CANT署名 | 東館 |
中島地区の復元銅板地図 | 未定 |
平和宣言 | 東館 |
スタンプコーナー | 東館 |
対話ノート | 東館 |
署名簿 | 東館 |
平和へのメッセージ | 東館 |
(2) 表現したり人とのふれあいができる空間
○配置する椅子や机の数が限られているため、繁忙期には、手紙を書く人、パソコンを利用する人などで、混雑する恐れがある。
○休憩スペースとなり、本来の目的である、手紙を書いたり、折り鶴を折る事ができなくなる可能性も考えられる。
○壁面をガラス張りにするなど、周囲とは区分した空間とし、休憩スペースとならないような工夫も考えられる。
資料4 |
平和記念公園の解説
1 基本計画での展示内容
(1) 展示内容
○館内から北側に望む平和記念公園の眺望を生かし、爆心地の旧中島地区、丹下健三の平和記念公園の設計理念、原爆ドーム、原爆死没者慰霊碑など
について紹介する。
(2) 展示場所
本館
(3) 主な内容
フロア | テーマ | 主な内容 | |
本館2階 | 平和記念公園の解説 | 平和記念公園とその設計理念などについて紹介 (丹下健三の設計理念) |
2 事務局気づきなど
○展示を予定している本館ギャラリーには、「観覧後の心情に配慮した場」を設けるため、位置や展示手法について相互の調整が必要となる。
○本館ギャラリーには、直接日光があたるため、一次資料の展示は難しい。
資料5 |
企画展示
1 基本計画での整備方針と内容
(1) 目的
長期的に固定化した展示となる常設展示(導入展示、人間の視点からの被爆の実相、核兵器の危険性、広島の歩み)を補完するとともに、再来館の動機
付け、入館者の増加につなげることを目的とする。
(2) 整備方針
○企画展示は常設展示を補完するものであり、常設展示の観覧後の無料空間に配置する。
○企画展示の観覧のみを主目的とする来館者がスムーズに観覧できる空間に配置する。
(3) 展示内容やテーマ
○常設展示に関連した専門性の高いテーマや、広島平和記念資料館資料調査研究会などの研究成果に基づくテーマなどを、様々な展示手法を活用して
分かりやすく紹介する。
○被爆の実相や原爆に関してタイムリーで話題性のあるテーマを取り上げる。
○新たに収蔵した貴重な資料を積極的に紹介する。
○常設展示では十分な解説が難しいテーマについて、分かりやすく紹介する。
○児童・生徒に分かりやすいテーマを設けて解説する。
○新しい展示手法を試行する場として活用し、その効果を測定するとともに、常設展示への導入につなげていく。
○テーマの設定や展示の計画について、被爆者や観覧者と共同で企画・作成するプロセスを取り入れることについても検討する。
○広島大学や広島市立大学などとの連携により、平和教育の成果の発表の場としての利用についても検討する。
(4) 展示場所
東館1階
(5) 主な内容
フロア | テーマ | 主な内容 | |
東館1階 | 企画展 | ・常設展示を補完 ・常設展示に関連した専門性の高いテーマ、タイムリー で話題性のあるテーマなどを取り上げて展示 |
2 事務局気づきなど
○ 「ミュージアムショップ」、「表現したり人とのふれあいができる空間」と同じフロアにあるため、落ち着いて観覧できる雰囲気をつくることが必要となる。
○ 常設展示と同じように動線内に椅子の配置を行うかどうか検討する。
○ 想定される観覧時間について検討する。
○ 常設展示を観覧後、出口へ向かう人と企画展示だけを観覧するために入館する人との動線が交錯しないようにする。
○ 展示更新を円滑に行うことができる環境を整備する。
*現在の企画展の展示更新は撤去・設営に延3日を要している。
資料6 |
ミュージアムショップなど
1 基本計画での整備方針と内容
(1) ミュージアムショップ(東館1階)
ア 目的
来館者が常設展示を観覧し、被爆の実相などに触れたことを記憶にとどめ、観覧後も引き続き、平和への思いを深めてもらうとともに、原爆・平和に関す
る幅広い学習意欲に応えるため、専門書籍や来館の記念品などを提供することを目的とする。
イ 整備方針
○観覧する前の人や観覧者以外の人にも利用しやすいよう、常設展示の観覧後の無料空間に配置する。
○書籍や来館の記念品などの商品が選びやすいよう、商品の陳列空間を十分に確保する。
○購入した書籍やはがき、折り紙などを館内で利用しやすいよう、観覧後の心情に配慮した場との連携を意識した配置とする。
ウ 充実策
○ミュージアムショップを東館1階の展示室出口付近の無料空間へ移設する。
○購入した書籍やはがき、折り紙などを館内で利用しやすいよう、観覧後の心情に配慮した場との連携を意識した配置とする。
○スペースを十分に確保し、書籍などを手に取って見ることができる陳列形態とする。また、壁面ディスプレイなどの充実を図る。
○原爆・平和関係の専門書籍の充実を図るなど、展示との一体性や結び付きを深める。
○学校や公民館などで活用できる平和学習用の教材の開発などについても検討する。
○平和への願いを受け渡しできるような幅広いオリジナル商品(ピースグッズ)の研究・開発を検討する。
○折り鶴の折り方の解説が付いた折り紙のような商品を開発し、平和記念資料館ならではのユニークさを出していく。
○ホームページなどで取扱品目や購入方法などをより分かりやすく紹介し、通信販売による利用の促進を図る。
○英会話のできる販売員の配置や接客研修の導入など、国内外からの来館者への利便性の向上を図る。
○専門業者の導入など適切な運営形態についても検討する。
(2) 情報資料室・情報コーナー
ア 整備方針
館の情報発信拠点として、来館者に展示内容をはじめ原爆・平和に関する情報を提供することを目的に、東館地下に配置する。
また、東館1階に情報資料室の分室的な機能も持つ空間を整備して、情報発信・提供機能の充実を図る。
イ 充実策
○一般向けや引率教職員向けなど利用者に合わせた簡単な案内パンフレットの作成を検討する。
○研究者向けの案内資料を作成するなど、研究サポート機能の充実を図る。
○子ども向け書籍の充実を図る。
○現在の常設展示のビデオコーナー(東館3階)の機能を取り込み、書籍等の資料と視聴覚資料の一体的な提供を図る。
○土・日曜日の利用を可能にするなど開室日を拡充する。
○平和学習などで何度でも利用してもらうことができるよう、市内の子どもたちを中心として、リピーターの増加に努める。
○利便性の向上を図るため、現在のビデオシアター(東館1階)の場所に情報コーナーを設置する。
○東館1階の情報コーナーや観覧後の心情に配慮した場で収集資料を検索できるようにする。
(3) ガイダンス
建物や展示の配置、観覧コースと所要時間などの施設の利用案内やインフォメーションを口ビー付近に配置し、来館者へのサービスの向上を図る。
(4) ビデオシアター
所蔵する900本以上に及ぶ被爆者の証言映像、被爆直後に撮られた映像を基に制作された原爆記録映画などを、落ち着いて鑑賞できるコーナーを整備
する。
(5) 主な内容
・ミュージアムショップ | |||
フロア | テーマ | 主な内容 | |
東館1階 | ミュージアムショップ | 被爆の実相に触れたことを記憶にとどめ、観覧後も引き続き平和への思いを深めてもらうため、関係書籍や記念品などを提供 |
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・情報資料室・情報コーナー | |||
東館1階 | 情報コーナー | 原爆・平和をテーマとした子ども向け図書、平和博物館情報などの閲覧 |
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東館地下 | 情報資料室 | ・原爆・平和に関する資料や図書の閲覧 ・編集前の被爆者証言ビデオや記録映像などの視聴覚 資料の提供 ・平和データベースやインターネット情報の検索 |
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・ガイダンス | |||
東館1階 | ガイダンス | 設置目的、建物・展示の配置、観覧コースと所要時間など施設利用案内 |
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・ビデオシアター | |||
東館3階 | 被爆者証言ビデオの視聴 |
被爆者証言ビデオとその関連情報などの提供 | |
東館地下 |
ビデオシアター | 原爆記録映画(日本語・英語)の定期上映 |
2 事務局気づきなど
(1) ミュージアムショップ(東館1階)
○商品を保管する倉庫などバックヤードや商品の搬入ルートの確保が必要となる。
(2) 情報資料室・情報コーナー
○情報コーナーでは、観覧後に展示内容を復習できる機能について検討する。
(3) ビデオシアター
ア 被爆者証言ビデオの視聴(東館3階)
○東館3階の被爆者証言ビデオコーナーは、映像ディスプレイを複数配置し、観覧者が視聴するプログラムを選択できるようにすることが考えられる。
イ ビデオシアター(東館地下1階)
○現状では日本語・英語のビデオシアターが1つずつある。更新後も日本語・英語別々に2つのビデオシアターを設けるのか。あるいは、1つにまとめ、日
本語・英語のプログラムを交互に上映するのか。
○来館者の東館地下への誘導について検討する。
○ビデオシアターで上映する映像作品の制作について検討する。
[ユニバーサルデザインへの対応]
「年齢、性別、能力、国籍など、人々の様々な特性や違いを超え、すべての人にとって快適なものや仕組みを実現するという考え方を言い、お年寄りや子ど
も、妊婦、体が不自由な人など、誰もが安心して使用できる道具や、行動できる環境を生み出す、人にやさしいデザイン」と定義されるユニバーサルデザイン
を意識しながら、施設・展示の整備を行う必要がある。