007
原爆ドームは語る
|
原爆ドームは、無言で語りかける。
真剣に耳を傾ける君の心に何が届いたろうか。
1945年8月6日午前8時15分。
B29爆撃機「エノラゲイ」は2つに分けた濃縮ウラン約50kgを詰めた爆弾を9600メートル上空から人間の上に落として去った。
43秒後、上空約600メートル。
濃縮ウランの2つの塊が合体。
核分裂したのは、たった1kgの濃縮ウラン。
所要時間百万分の1秒。
破壊力16kT。
光速に近い放射線が直ちにヒロシマを襲った。
超高温高圧となった爆弾は爆発・気化。
巨大な火球となり、衝撃波と熱線を発して人や建物を無慈悲に破壊した。
爆心地近くの地表は瞬間4000度にも達した。
3分後にはキノコ雲が立ち上り、20分後には黒い雨が降り出す。
猛烈な火災は生きた人まで焼き殺す。
広島は廃墟と化し、
むごい苦しみの中で年内に約14万人の尊い命が奪われた。
生きのびた被爆者も人生は激変。
辛く厳しい嵐の日々。
後障害や差別に苦しみ、数知れない涙を流した。
苦しみ抜いたからこそ被爆者は、
ほかの誰も「私のような残酷な目にあわせてはならない。」
との人道的信念を深め、
核兵器のない平和な世界の実現を訴え続けてきた。
未来に生きる大切な君よ!
この切なる声を胸に、
友情に満ちた平和な時代を自らの手で築き、
素晴らしい人生を生き抜いて欲しい。
必ず!
|
公益財団法人広島平和文化センター 理事長 小溝 泰義
|
(本文は『ようきんさった 原爆ドームは語る 言葉を超えて見て感じる 命のきずな』(NPO法人HPS国際ボランティア/2014年6月27日発行)へ寄稿されたメッセージです。)
|