和文機関紙「平和文化」No.179, 平成24年1月号

国際平和シンポジウム
核兵器廃絶への道 ~いま、市民社会から何を問いかけるか~

 米国オバマ大統領によるプラハでの演説、米露による新START(新戦略兵器削減条約)の締結、NPT再検討会議での最終文書の採択など核兵器廃絶に向けた気運が高まる中、その流れを加速させるため国際社会が取るべき方策などについて議論し、国際世論を一層喚起するため、平成23年7月31日(日)午後、広島国際会議場で、国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道~いま、市民社会から何を問いかけるか~」を開催しました。 (主催―広島市、本財団、朝日新聞社。後援―長崎市、(公財)長崎平和推進協会、広島ホームテレビ、長崎文化放送)
 平成7年度に始まったこのシンポジウムは、今回で17回目(うち本財団が主催者として加わったのは13回)となります。
プログラム

プログラム

特別ゲストスピーチ
中・高生ピースクラブから折り鶴のレイを受け取り、喜びを表すオノ・ヨーコさん

中・高生ピースクラブから折り鶴のレイを受け取り、喜びを表すオノ・ヨーコさん

 平和に貢献した現代芸術家に与えられる第8回ヒロシマ賞を受賞したオノ・ヨーコさんが、「ノーモア・ヒロシマのメッセージは、犠牲者だったことを覚えておいてくれというのではなく、あなたたちをノーモア・ヒロシマにしてあげたいという事だ」と語り、「核兵器のない世界に向けみんなが自分のできる小さな良いことをしていけば、世界は平和になる」と力強く呼び掛けました。
特別企画/被爆体験を語り継ぐ
 朝日新聞社制作の被爆証言サイト「広島・長崎の記憶」の紹介の後、サイトから澤田一瑩(さわだ かずえ)さんと前田サトミ(まえだ さとみ)さんの証言を ひろしま音読の会の森岡三恵(もりおか みえ)さん、宮川恵子(みやがわ けいこ)さんが朗読し、澤田さんと前田さんが壇上から平和の大切さを訴えました。
パネル討論
パネリストからの報告
ジョージ・パーコビッチ ― 核兵器の廃絶は奴隷制の廃止と似ています。 変化を恐れる人々が核兵器の廃絶を拒んでいるのです。 核兵器の廃絶を目指して今こそ広島、長崎の体験を世界に伝えていくべきです。 核兵器を使わなくても「安全」は達成できるという国際的な信頼関係を構築することが必要です。
ティルマン・ラフ ― 原子炉や核燃料プールは放射能を出す巨大な兵器となります。 世界のどこにいても核兵器が使われれば被害を受けます。 私たち市民社会から強く核兵器廃絶を訴えていきましょう。
水本和実(みずもと かずみ) ― 日本政府の「非核三原則」「米国の核の傘」「核の平和利用の促進」「核軍縮外交」という核に関する4つの大きな政策の柱は、矛盾して存在しており、核軍縮においてその役割を果たせていません。 今、この4つの政策の方向性を1つにする議論が必要です。
目加田説子(めかた もとこ) ― 対人地雷廃絶と同様、核兵器についても、国境を越えて核を廃絶しようという新しい価値を広め、多くの人が共有することが大事です。 核による被害について、広島、長崎、福島を経験した世界で唯一の国民として怖いことは怖い、嫌なことは嫌という声を上げ、日本政府に実のある核軍縮を進めるよう訴えていかなければいけません。
パネル討論
討論の様子

討論の様子

 各パネリストが専門分野についての報告を行った後、コーディネーターの三浦俊章(みうら としあき)氏から、福島原発での事故が何を意味するのか、今、国際社会での軍縮の流れがどうなっているのか、市民社会として我々に何ができるのか、という3つの討論の指針が示され、パネリストから様々な提案や意見が出されました。

水本和実
核の軍事利用と平和利用は表裏一体であり、また、双方が非常に高い危険性を持っているということを、我々は福島の事態から学び、きちんと伝えなければなりません。

ジョージ・
パーコビッチ

オバマ大統領はプラハ演説の中で核のない世界を標榜し、リーダーシップを示そうとしてきましたが、多くの抵抗があります。市民社会としては、オバマ大統領のような人と協力してくれる他国のリーダーシップが必要です。

ティルマン
・ラフ

人道的な側面から捉えた核兵器の問題について理解を広め、市民社会が各国政府に対して核兵器禁止条約の交渉を始めるよう強力に働き掛けていくことが必要です。

目加田説子
1人では小さな力かもしれませんが、みんなが同じ思いを持って行動することで社会が大きく変わります。今年はいい意味で核軍縮に向けた原点であるというメッセージをそれぞれが考え、是非広島から世界に発信していただきたいと思います。

三浦俊章
海外の人が震災に遭った日本の人たちを「resilient」という言葉で讃えていました。これは、決して諦めずに志を持続するという意味を持っています。広島・長崎も「resilient」でした。今日のシンポジウムも「resilient」な努力の一コマになれば良いと思いますし、今後もこういう形で伝えて行きたいと思います。

(平和連帯推進課)

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