和文機関紙「平和文化」No.184, 平成25年12月号

第8回平和市長会議総会を開催

第8回平和市長会議総会開会式で挨拶する松井市長

第8回平和市長会議総会開会式で挨拶する松井市長

 平和首長会議 (旧名称・平和市長会議)は、8月3日(土)から8月6日(火)、4年に1度の総会を広島市で開催しました。
 第8回となる今回は、「『核兵器のない世界』の実現を目指して―『ヒロシマ・ナガサキの心』を世界に―」を基調テーマに、国内外の157都市と11か国の政府、NGO等18団体から、305人が参加し、2020年までの核兵器廃絶に向けた具体的な取組について議論しました。
第8回平和市長会議総会プログラム
8月3日(土) 開会式
被爆体験証言 松島 圭次郎氏
原爆死没者慰霊碑参拝・献花、広島平和記念資料館視察
8月4日(日) 会議Ⅰ 議案の審議・決定
会議Ⅱ 「2020ビジョンキャンペーンの今後の取組」
会議Ⅲ 「平和市長会議の地域のグループ化と市民と連携した取組の推進」
市民団体・被爆者団体との対話集会「核兵器廃絶に向け、私たちは何をすべきか」
ヒロシマ・アピール起草委員会(役員都市のみ)
8月5日(月) 第3回平和市長会議国内加盟都市会議(日本の加盟都市のみ)
各国政府・NGO関係者等との対話集会「核兵器廃絶に向けた各国政府、NGO等の役割」
「平和のメッセージ」米国映画監督 オリバー・ストーン
会議Ⅳ 「核兵器廃絶への道筋」
閉会式
8月6日(火) 平和記念式典参列
開会式
 最初に、松井一實(まつい かずみ)広島市長が主催者を代表して挨拶を行いました。 松井市長は、今回の総会の基調テーマについて「一人でも多くの被爆者が存命のうちに核兵器廃絶を成し遂げなければならないという決意を込めた」と述べ、核兵器禁止条約の早期実現を目指したさらなる取組の強化へ協力を呼び掛けました。
 その後、来賓代表として湯﨑英彦(ゆざき ひでひこ)広島県知事が挨拶を述べ、最後に、潘基文(パン ギムン)国連事務総長とロシア都市連合会長のメッセージが紹介されました。
被爆体験証言
 被爆体験証言者の松島圭次郎(まつしま けいじろう)さんが、英語による被爆体験証言を行いました。 松島さんは、被爆当時の悲惨な様子について語り、「世界中どこの国でも二度と同じ過ちを繰り返してはならない。広島で学んだことを、皆さんの国に帰って伝えて下さい。」と訴えました。
会議Ⅰ
 松井市長の進行により、役員都市の選任、2013年から2017年までの行動計画など5つの議案について審議がなされ、全て原案通り決定されました。
会議Ⅱ
 小溝泰義(こみぞ やすよし)本財団理事長のコーディネートにより、「2020ビジョンキャンペーンの今後の取組」をテーマに、2020年までの核兵器廃絶を目指す、これまでの活動の報告と今後の取組についての議論が行われました。
 会議では、2020ビジョンキャンペーン協会、国内加盟都市、2020ビジョンキャンペーナーと、「広島・長崎講座」を実施しているベルリン工科大学から、活動の紹介や、キャンペーンの将来の展望についての提案がありました。
会議Ⅲ
 ノルウェー・フロン市のトーレ・ベツビィ市長のコーディネートにより、「平和市長会議の地域のグループ化と市民と連携した取組の推進」をテーマに、世界各地域での平和への取組が紹介され、意見交換が行われました。
 初めに、フランス国内の取組と、新たな活動として地中海沿岸の都市の共催による平和会議の企画が紹介されました。 他に、ドイツ、日本等の都市からも取組の紹介がありました。 また、トルコ、イラクからは、化学兵器で多くの犠牲者を出したクルド人の歴史が紹介されました。
 ベツビィ市長は、「参加者全員が、今日聴いたことを自国に持ち帰り、検討し、行動に移さなければならない。」と述べ、会議を締め括りました。
市民団体・被爆者団体との対話集会
 「核廃絶に向け、私たち市民は何をすべきか」をテーマに、広島市立大学広島平和研究所の水本和実(みずもと かずみ)副所長のコーディネートにより、参加者と市民団体・被爆者団体との対話集会が行われました。
 まず、広島県原爆被害者団体協議会の2人、及び市民代表として広島県生活協同組合連合会と広島女学院高等学校から、それぞれの取組について報告がありました。
 次に、会場からの発言として、核兵器のドキュメンタリー映画の製作団体から、上映を通じた活動の紹介がありました。
 水本副所長は、「様々な立場の人々に共通して、核兵器の非人道性・危険性、あるいは恐ろしさを訴え、禁止や廃絶を実現すべきだという共通認識が存在することを確認できた。」と会議を総括しました。
各国政府・NGO関係者等との対話集会
 「核兵器廃絶に向けた各国政府、NGO等の役割」をテーマに、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子(なかむら けいこ)准教授のコーディネートにより、参加者と各国政府・NGO関係者等との対話集会を行いました。
 まず、ノルウェー、メキシコ、インドの各駐日大使館、外務省、赤十字国際委員会及び国際NGO団体のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がそれぞれ活動の紹介を行った後、湯﨑知事が「国際平和拠点ひろしま構想」についてスピーチを行い、続いて、会場からの発言と質疑応答が行われました。
 中村准教授は、「核兵器の非人道性を、なぜ今語るのか、私たちはどこに向かうのかということを議論できたことは大変有意義だった。」と会議を総括しました。
各国政府・NGO関係者等との対話集会

各国政府・NGO関係者等との対話集会

平和のメッセージ
平和のメッセージを訴えるオリバー・ストーン監督

平和のメッセージを訴えるオリバー・ストーン監督

 総会の特別ゲストとして、米国の映画監督、オリバー・ストーン氏が講演しました。
 講演の中でストーン監督は、「被爆者は、復讐ではなく『愛のメッセージ』、戦争ではなく『平和のメッセージ』を生涯掛けて発信してこられた。」と述べ、被爆者の存命中に核兵器廃絶を実現しなければならないと訴えました。
会議Ⅳ
 松井市長の司会により、「2020年までの核兵器廃絶に向けて」というテーマで議論しました。
 まず、会議Ⅱ・Ⅲ及び2つの対話集会の各コーディネーターが議論の総括を報告した後、会場からの発言と質疑応答が行われました。
 続いて、松井市長が今回の総会の総括として、「ヒロシマアピール」を読み上げました。 アピールは会場からの拍手で採択され、全ての議事は終了しました。
閉会式
 最初に、岸田文雄(きしだ ふみお)外務大臣からの挨拶が代読されました。 続いて、平和首長会議副会長の、アメリカ・アクロン市のドナルド・プラスケリック市長、田上富久(たうえ とみひさ)長崎市長が挨拶を述べました。
 最後に、松井市長が、総会への参加、協力に対するお礼と、「皆さんの力を結集して2020年までの核兵器廃絶に向けた取組の強化を図っていきたい。」と決意を述べ、総会は閉会しました。
 「ヒロシマアピール」は、9月に国連事務総長及び各国政府に送付されました。 「ヒロシマアピール」及び議案書は、平和首長会議ホームページで御覧頂くことができます。

(平和連帯推進課)

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