和文機関紙「平和文化」No.184, 平成25年12月号

被爆68周年 平和記念式典

―原爆は、非人道兵器の極みであり「絶対悪」です―
 被爆68年目の8月6日(火)、広島市の平和記念公園で、市主催の平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)が行われ、遺族ら約5万人が参列して犠牲者の冥福と恒久平和を祈りました。
 式典は午前8時に始まり、最初に松井一實(まつい かずみ)広島市長と遺族代表2人が、この1年間に亡くなったことが確認された5,859人の氏名が記帳された2冊の原爆死没者名簿を、原爆死没者慰霊碑の中の奉安箱(ほうあんばこ)に奉納しました。 これで名簿登録者総数は286,818人、名簿総数は104冊となりました。
 続いて碓井法明(うすい のりあき)広島市議会議長の式辞、各代表による献花の後、原爆が投下された8時15分に、遺族代表の迫田史織(さこだ しおり)さんと、こども代表の伊藤麟太郎(いとう りんたろう)君が平和の鐘をつき、参列者全員が1分間の黙祷(もくとう)を捧(ささ)げました。
 この後、松井市長が平和宣言を行いました。 松井市長は、被爆による身体への被害のみならず、放射線に対する恐怖による謂(いわ)れの無い風評によっても苦しめられてきた被爆者の体験談を紹介し、「無差別に罪もない多くの市民の命を奪い、人々の人生をも一変させ、また、終生にわたり心身を苛さいなみ続ける原爆は、非人道兵器の極みであり『絶対悪』です。」と力強く訴えました。 そして、世界の為政者に、広島を訪れ、被爆者の思いに接し、過去にとらわれず人類の未来を見据えて、信頼と対話に基づく安全保障体制への転換を決断するよう呼びかけました。
 また、核兵器の非人道性を踏まえ、その廃絶を訴える国が着実に増加してきていること等を挙げ、日本政府に、核兵器廃絶をめざす国々との連携を強化することを求めました。 さらに、東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の事故による被災者に思いを寄せ、日本政府に、国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策の早期構築、実行を強く求めました。
 平和宣言の後、こども代表の竹内駿治(たけうち しゅんじ)君と中森柚子(なかもり ゆず)さんが、広島で68年間、命とともに親から子へ、孫へと、被爆の事実や被爆者の思いが伝えられてきたことを、バトンリレーに例え、「方法は違っていてもいいのです。大切なのは、わたしたち一人一人の行動なのです。さあ、一緒に平和をつくりましょう。大切なバトンをつなぐために。」と、平和への誓いを読み上げました。
 安倍晋三(あべ しんぞう)内閣総理大臣は、あいさつの中で、核兵器のない世界を実現するため、2014年に、日本が主導する非核兵器国の集まり、軍縮・不拡散イニシアティブの外相会合を広島で開催すること等を挙げました。 また、原爆症認定制度の見直しについて、有識者や被爆者の代表を含む関係者による議論を早急に進める考えを示しました。
 式典には42都道府県の遺族代表、湯崎英彦(ゆざき ひでひこ)広島県知事の他、ブーク・イェレミッチ第67回国際連合総会議長や、核兵器国のアメリカ、イギリス、フランス、ロシアを含む70カ国と欧州連合(EU)の大使や代表も出席しました。
 式典の様子はインターネットでライブ中継されました。 式典で読み上げられた「平和宣言」、「平和への誓い」の全文は、広島市ホームページから閲覧できます。 平和宣言については8カ国語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ハングル、ロシア語、スペイン語)の翻訳版も掲載されています。

(総 務 課)

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