この資料展は、6月1日から10月末(予定)まで当館東館地下1階で開催しています。
広島・呉
(くれ)を舞台にしたアニメーション映画「この世界の片隅に」は、平成28年(2016年)11月に公開され、210万人以上を魅了しました。
そして、新たに約30分・250カットを超えるエピソードを加えた新作「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が昨年12月に公開されました。
今回の資料展は、この映画の主人公・すずさんの広島での場面、特に中島地区(現在の平和記念公園)を中心に、かつてのにぎやかな街並や被爆後の惨状を描いた展示パネル19枚で構成しています。
内容は複製原画34点と下絵22点に関連資料を加えたもので、大部分の説明文は片渕須直
(かたぶち すなお)監督が書いてくださったものです。
監督のこだわりが随所に見られます。
「原爆の爆心からわずか170mの距離にあった大正屋呉服店の建物は、平和記念公園レストハウスとして現存する。
その姿を画面に収めようとすると、手前に建つ大津屋
(おおつや)モスリン堂も描くことになるのだが、この店の店構えを捉えた写真は手に入らなかった。
聴き取りを繰り返して再現していかなければならなかった。」(片渕)
習作を10回以上重ねた結果描かれた大津屋でしたが、前作発表後に確認された資料に基づいて、新作では描き直されました。
資料展でその過程をご覧いただけます。
また、新型コロナウイルスの影響を受けて実施している対策にご協力いただいている来館者への感謝の意味を込めて、展示会場に立っている「すずさんの看板(呉観光協会所蔵)」もマスク(昭和のくらし博物館提供)をしています。
(平和記念資料館 学芸課)