和文機関紙「平和文化」No.209, 令和4年8月号

日本語ボランティア養成講座を開催しました

 外国人が日本で暮らす場合、日本語ができないと、生活したり、仕事や学校に行ったりする中で、周りの人と十分にコミュニケーションがとれず、多くの困難に直面します。 また、災害時に大事な情報が届かないと、安全や命に関わることもあります。 そうした中で、日本語を学習する外国人市民を長年地域で支えてきた活動が、日本語ボランティア活動です。 広島市では外国人人口の増加傾向が続いており、市民が外国人と関わる機会も増えているのが現状です。
日本語ボランティア養成講座
外国人市民の状況や気持ちを理解するため、ゲストに地域で暮らす外国人を招き、囲んでお話を聞きました。
 広島平和文化センターは、既にボランティアとして活動している人の疑問や困難を解消し、日本語ボランティアの活動の裾野を広げるために、今年度も「日本語ボランティア養成講座」を開催し、市民の皆さんに、外国人とのコミュニケーションや日本語を教えるときの心得やコツを学んでいただきました。 6月に開催した、これから活動を始めたい人へ向けたコースⅠでは32人が、5月~6月に開催した、すでに日本語ボランティアとして3年以上活動経験のある方へ向けたコースⅢでは16人が学びました。 講師には広島YMCA専門学校の言語コミュニケーション課から福永尚子(ふくなが なおこ)さん、末田朝子(すえだ ともこ)さん、石川裕大(いしかわ ゆうすけ)さんをお迎えしました。 また受講生には、外国人向けの日本語教室「へいわこうえん日本語教室」でボランティア活動を体験してもらう機会を設け、まだ地域での活動を始めていない人にはボランティア活動のイメージを持ってもらい、既に活動している人にはスキルアップの機会としていただきました。
日本語ボランティア養成講座
外国人市民の状況や気持ちを理解するため、ゲストに地域で暮らす外国人を招き、囲んでお話を聞きました。
 では、外国人とのコミュニケーションや日本語を教えるときの心得やコツとは何でしょうか。 今回の講座で特に大切なポイントとして指摘された点を、以下にご紹介します。
「外国人に日本語で話す」「日本語を教える」と聞くと、親切心から積極的に話しかけ、日本のことや日本語をどんどん教えてあげると想像されるかもしれません。 確かに、「親切にしてあげたい」という気持ちが強いと、思わず自分が知っていることをあれもこれも教えてあげたくなりますし、時にはそうしたサポートが必要な場合もあります。 ただ、外国人の視点に立って考えてみると、日本語が理解できないために、本当に言いたいことを言えていないかも知れません。 新しいことを次々教えられてばかりで疲れているかも知れませんし、悩んでいることがあって、その話を誰かに聞いて欲しいかもしれません。 まずは、「どうしたい?」「何か困っている?」「何が好き?嫌い?」と声をかけ、彼らの話に耳を傾けてから、1人1人に対するサポートの形を一緒に考えてみましょう。
日本語学習者には3つのKがあります。 学習者は自分で、①気づきたい、②関わりたい、③決めたい、ということです。 これは日本人、外国人に関わらず、誰もが望んでいる事だと思います。 「教える・教えられる」という関係性も確かに必要ですが、同じ地域住民として生活の困りごとを共有できたり、雑談で笑い合える関係性が築けたら、教室は日本語学習者にとってもボランティアにとっても、さらに居心地のよい場所となるのではないでしょうか。
 地域の情報は、そこに暮らす人たちが一番よくわかっています。 日本語ボランティア教室という地域に根差した場所は、日本語を学ぶ場であると同時に、その地域へ移住してきた外国人が地域を理解するために頼りにする場所となっています。 身近な場所であるからこそ、ご近所同士のように助け合える関係性が築け、安心できる居場所となり、交流の輪が広がって行きます。
 そんな場所に関わってくださる人たちが一人でも多く増えることを願いながら、毎年講座を開催しています。
(国際市民交流課)
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