青年海外協力隊員による原爆展
人形劇で伝える「ヒロシマ」
独立行政法人国際協力機構(JICA) 国際協力推進員 植松弥穂(うえまつ みほ)
協力隊員の派遣国の一つであるスリランカ。 平成20年から始まった原爆展は、隊員の任地を中心として、毎年各地で開催されています。 隊員の任期は2年であるため、毎年実施メンバーは入れ替わっていますが、その(こころざし)は受け継がれ、現在は10人のメンバーが中心となって今年も開催します。
人形劇を上演する隊員

人形劇に見入る子供たち
  この国で行う原爆展の特色は、会場で毎回上演される人形劇です。 原爆展には、一般の来場者に加え、近郊の小学校や幼稚園から多くの子供たちがやってきます。 しかしながら、展示ポスターの説明文は難しく、小さな子供には理解できません。 また、上映されるビデオは大人対象に作られていて衝撃的な映像も多いため、恐怖に泣き出す子供もいたようです。 隊員たちは、せっかく足を運んでくれた小さな来場者達にも、もっとわかり易く、恐怖心を最小限に抑えながら原爆やヒロシマについて学んでもらえる方法はないだろうかと考えました。 そして、「映画やアニメの大好きなスリランカの子供たちにきっと興味を持ってもらえるはず」と思いついたのがヒロシマを題材にした人形劇です。 シナリオはもちろん、人形や舞台装置から照明まで、上演に必要な準備はすべて隊員たちが自ら準備し、現地語で演じるのも、もちろん隊員です。 何度も練習を重ねて原爆展当日の上演に臨みました。
  8月6日の広島。平和に暮らす人々を襲った突然の原子爆弾。 それによって家も学校も一瞬のうちに消えてしまいました。 たくさんの人々が家族や友達を失くし、悲しむ様子が人形達によって表現されると、子供たちは身を乗り出し、食い入るようにして真剣に見入っていました。 人形劇は引率の大人達からも高い評価を受け、その後スリランカの原爆展のプログラムの一つとして定着しました。
  スリランカでは毎年大学や市役所、寺院などを会場として、5、6か所で原爆展が開催されています。 戦争の罪や核の悲劇、平和の大切さを世界中に伝えていくため、協力隊員の原爆展は今年も続いて行われます。
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