被爆74周年平和記念式典
―核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います―
 被爆74年目の8月6日(火)、広島市の平和記念公園で、市主催の平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)が行われ、被爆者や遺族など約5万人が参列して犠牲者の冥福と世界恒久平和を祈りました。
 式典は午前8時に始まり、最初に松井(まつい)一實(かずみ)広島市長と遺族代表2人が、この1年間に亡くなられたことが確認された5,068人の氏名が記帳された2冊の原爆死没者名簿を、原爆死没者慰霊碑の中の奉安箱(ほうあんばこ)に奉納しました。 これで名簿登録者総数は319,186人、名簿総数は117冊となりました。
 続いて山田(やまだ)春男(はるお)広島市議会議長の式辞、各代表による献花の後、原爆が投下された8時15分に、遺族代表の面出(めんで)明子(あきこ)さんと、こども代表の正門(まさかど)和虎(あいと)さんが平和の鐘をつき、参列者全員が1分間の黙祷(もくとう)(ささ)げました。
 この後、松井市長が平和宣言を行いました。 市長は、昨今の世界情勢により核兵器廃絶への動きも停滞するなか、今一度、人類の存続に向け、決して戦争を起こさない理想の世界を目指す必要があることを、特に、次代を担う戦争を知らない若い人に訴えたいとして、被爆者の方々の1945年8月6日の体験や訴えを紹介しました。 そして、未来を担う若い人たちが、原爆や戦争を単なる過去の出来事と捉えず、また、被爆者や平和な世界を目指す人たちの声や努力を自らのものとして、たゆむことなく前進していくことが重要だと訴えました。
 また、世界中の為政者に、被爆地を訪れ、被爆者の声を聴き、平和記念資料館、追悼平和祈念館で
犠牲者や遺族一人一人の人生に向き合うことや、核不拡散条約(NPT)第6条に定められている核軍縮の誠実交渉義務を果たすとともに、核兵器のない世界への一里塚となる核兵器禁止条約の発効を求める市民社会の思いに応えるよう求めました。
 さらに日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いをしっかりと受け止め、核兵器のない世界の実現に更に一歩踏み込んでリーダーシップを発揮することや、平均年齢が82歳を超えた被爆者を始め、心身に悪影響を及ぼす放射線により生活面で様々な苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めました。
平和宣言を行う松井市長
 平和宣言の後、こども代表の金田(かねだ)秋佳(しゅうか)さんと石橋(いしばし)忠大(ただひろ)君が、自分たちの大切なものがあふれている大好きな広島の町の「悲惨な過去」を学び、二度と戦争をおこさない未来にするため、「互いに思いを伝え合い、相手の立場に立って考えます。意志をもって学び続けます。被爆者の思いに、私たちの思いを重ねて、平和への思いを世界につなげます。」と「平和への誓い」を読み上げました。
 この後「あいさつ」の中で、安倍(あべ)晋三(しんぞう)内閣総理大臣は、近年、世界的に安全保障環境は厳しさを増し、核軍縮をめぐっては各国の立場の隔たりが拡大していると指摘し、日本としては、「核兵器のない世界」の実現に向け、核兵器国と非核兵器国の双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し、国際社会の取組を主導していくと述べました。 また、NPT発効50周年という節目の年となる2020年のNPT運用検討会議において、意義ある成果を生み出すために、広島から始まった核軍縮に関する「賢人会議」の提言等を十分踏まえながら、各国に積極的に働きかけていくと述べました。 このほか、被爆者の方々から伝えられた被爆体験を若い世代へと語り継いでいく取組や、広島や長崎を訪れる世界中の人々に被爆の悲惨な実相に触れていただく取組を、着実に推し進めていく考えを示しました。
 また、アントニオ・グテーレス国連事務総長のメッセージを中満(なかみつ)(いずみ)国連事務次長・軍縮担当上級代表が代読しました。 事務総長は、悲しいことに、今日、国際安全保障環境が悪化し、核保有国間の緊張が高まっており、何十年にもわたり世界をより安全にしてきた軍縮や軍備管理制度を疑問視する声が聞こえ始めていると述べ、私たちはいま一度、被爆者の方々が世界中に広めてきた、核兵器の使用を防ぐ唯一の確実な保証は核兵器の完全な廃絶であるという重要なメッセージを思い出さなくてはならないと訴えました。 そして今日、およそ14,000発の核兵器がいまだ存在し、その多くがいつ発射されてもおかしくない警戒態勢にあるなか、この危険を低減し、最終的になくしていくため、被爆者やすべての人々とともに、全力を尽くすと述べました。
 式典には36都道府県の遺族代表の他、核兵器国のアメリカ、イギリス、フランス、ロシアを含む89か国と欧州連合(EU)の大使や代表が参列しました。
 式典の様子はインターネットでライブ中継されました。 動画は、ひろしまムービーチャンネル>>の「原爆・平和」から視聴できます。 式典で読み上げられた「平和宣言」、「平和への誓い」の全文は、広島市ホームページ>>の「原爆・平和」→「平和宣言・平和への誓い・平和に関する要請等」から閲覧できます。 「平和宣言」は9言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ハングル、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語)の外国語版も閲覧できます。

(総 務 課)

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