和文機関紙「平和文化」No.203, 令和2年3月号

平和首長会議理事会に出席(ドイツ・ハノーバー市)

 平和首長会議(会長 松井一實(まつい かずみ)広島市長)の第11回理事会が、昨年11月11日から2日間にわたり、副会長都市であるドイツ・ハノーバー市において開催され、松井会長及び小泉崇(こいずみ たかし)事務総長(本財団理事長)を始め、ヨーロッパ、北米、アジアから役員都市10都市の関係者が出席しました。
理事会に参加した役員都市関係者

理事会に参加した役員都市関係者

次期ビジョンの基本的方向性について合意
 松井会長は冒頭挨拶において、これまでに構築してきたネットワークを強化するために加盟都市を拡大し、特に核保有国とその同盟国において市民の平和意識の醸成を図ることにより、為政者の政策転換を促していくことが必要であると述べました。
 まず、2020ビジョンの達成状況や現行動計画の取組状況について議論し、2020ビジョンの下で、多くの加盟都市が平和NGO等とともに核軍縮の進展に向けて主体的な活動を展開してきたことを確認しました。
 続いて、2021年以降の次期ビジョン・行動計画をどのように策定すべきかについて議論しました。
 次期ビジョンの基本的な方向性については、「核兵器のない世界の実現」を中心に据え、同時に「安全で活力のある都市の実現」を目標として掲げ、さらに市民一人ひとりが日常生活の中で平和について考え、行動することを奨励する理念を示す「平和文化の振興」を掲げることで合意しました。 また、2020年8月の第10回平和首長会議総会での策定に向け、引き続き議論を深めていくことにしました。  その後、英国・マンチェスター市から 「被爆樹木を活用した平和教育」 について、フィリピン・モンテンルパ市から 「国際平和デーにあわせた平和意識啓発イベント」について、ハノーバー市から「リーダー都市による加盟要請等の活動」について、効果を上げている取組が報告されました。
 また、次期ビジョン・行動計画への移行を円滑かつ着実に進めることができるよう、2020ビジョンの最終年である2020年に重点的に取り組む事項について議論し、「『核兵器禁止条約』の発効等の目標の達成に向けた加盟都市の拡大」、「次代を担う若い世代の意識啓発を目指す平和教育の実施」、「広島・長崎への受け入れを組み込んだ青少年『平和と交流』支援事業等の充実」の3項目を決定しました。
 
ヨーロッパ支部設立を承認
理事会の様子

理事会の様子

 以上のことに加え、スペイン・グラノラーズ市を中心としたヨーロッパの役員都市から、2020年1月のヨーロッパ支部設立について提案があり、これを承認しました。
 また事務局から、2020年に計画している取組として、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて同組織委員会が進めている「PEACE ORIZURU」(折鶴に平和メッセージを書いてSNSで発信する)プロジェクトへの参画や、2020年NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に際して行う各種の活動について説明しました。
 2日目の会議では、前日の議論を踏まえて、今回の理事会を取りまとめる総括文書について審議し、採択を行いました。
 また、前日のヨーロッパ支部設立の承認を受けて、ヨーロッパの役員都市が初めて設立準備会議を行うのに際し、松井会長は冒頭で、リーダー都市が中心になって平和な世界の実現に向けて協働していくことは非常に意義深いことであり、ヨーロッパ地域のみならず世界の平和構築に向けて連帯してほしいと期待を述べました。
 平和首長会議は、今後もこれまで培ってきたネットワークを強化し、取組を広げるべく、核保有国とその同盟国を含む全世界で加盟都市を増やし、市民社会に平和への大きな潮流を作ることにより、核兵器のない世界の実現に向けて為政者の政策転換を強力に後押しする環境づくりを推進していきたいと考えています。
(平和首長会議・2020ビジョン推進課)
 
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