和文機関紙「平和文化」No.203, 令和2年3月号

小泉事務総長がスイス・ジュネーブ市で国連・各国政府関係者等と面談

 平和首長会議の小泉崇(こいずみ たかし)事務総長(本財団理事長)は、第11回平和首長会議理事会出席のためのヨーロッパ訪問の機会を捉え、スイス・ジュネーブ市を訪問しました。 国連、各国政府関係者等と面談し、被爆75周年を迎えるとともにNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議が開催されるなど大きな節目となる2020年を前に、平和首長会議の取組に対する理解と協力を求めました。
 
NPT再検討会議や核兵器禁止条約への尽力を要請
 まず、ホワイト在ジュネーブ国際機関コスタリカ政府代表部大使と面談した小泉事務総長は、2015年の再検討会議が頓挫した原因となった中東における混乱と同様な状況にあるが、市民社会の見方からすればイランには1,000を超える平和首長会議の加盟都市があり、悲観的な状況ばかりではないとの考えを示し、2020年NPT再検討会議の成功や核兵器禁止条約の発効に向けて、尽力していただくことを期待すると述べました。
 続いて面談したローワン赤十字国際委員会(ICRC)武力関連法務部長は、米・ロの中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄などについて、核兵器を法的に規制できなくなっていくことを危惧されており、その意味で核兵器禁止条約は希望だと発言されました。 また、核兵器は都市が標的になるという点で、世界の都市で構成する平和首長会議の活動は大変重要であると述べられました。
 小泉事務総長は、引き続き平和首長会議の取組に協力していただくよう依頼しました。
 その後、ボリー国連軍縮研究所(UNIDIR)研究部長と面談した小泉事務総長は、市民社会、国際機関、NGOが連携して核兵器廃絶に取り組んでいくことが重要だと述べました。
 ボリー部長は、NPTが2020年で50周年を迎えるが、核軍縮はとても厳しい情勢にあり、核兵器禁止条約についても、核保有国と非核保有国の分断を生んでいるとの現状を述べられ、こうした状況にあるからこそ市民社会が核軍縮への圧力を掛けていくことが重要だと発言されました。
 
2020年オリンピックを機に核廃絶を訴え
 バロバヤ国連欧州本部長と面談した小泉事務総長は、国連の持続可能な開発目標(SCGs)が平和首長会議の目的にも合致すると述べるとともに、2020年の第10回平和首長会議総会や東京オリンピック・パラリンピックなどの機会を活用し、世界中に核兵器廃絶を訴えていきたいと話しました。
バロバヤ国連欧州本部長と

バロバヤ国連欧州本部長と

 バロバヤ本部長は、被爆75 周年に当たる2020年が、平和首長会議にとって重要な年であることを認識され、大いにサポートしていきたいと発言されました。 また、広島・長崎での出来事を青少年に伝えていくことが重要だと述べられました。
 続いて面談した髙見澤(たかみざわ)軍縮会議日本政府代表部特命全権大使は、2019年も国連総会第一委員会において日本が提案した核兵器廃絶決議案が採択されたことに言及し、2020年NPT再検討会議を成功に導くため、これまでの決議を踏襲するのではなく新たなものにしたと説明されました。
フィンICAN事務局長(中)と

フィンICAN事務局長(中)と

 さらに面談したフィン核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長は、平和首長会議との連携に対して謝意を述べるとともに、平和首長会議が核兵器廃絶に向けて市民の安心・安全を守るという視点に立ってアプローチしていることから大きな示唆を得て、ICANシティーズ・アピール(核兵器禁止条約を批准していない国の地方自治体が自国政府へ条約締結を呼び掛ける取組)を始めたと発言されました。
 今回面談した方々は共通して、核兵器廃絶に向けて市民社会が果たす役割が大変重要だと考えておられました。 こうした考え方は、市民社会における平和意識を醸成し、為政者の政策転換を後押しする環境づくりを推進している平和首長会議と方向性を同じくするものであり、今後も核兵器のない世界の実現に向けて着実に取組を推進していく必要があると感じました。
(平和首長会議・2020ビジョン推進課)
 
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