昨年10月24日、被爆者で本財団評議員の坪井直
(つぼい すなお)さんが逝去されました。
享年96 歳でした。
坪井さんは旧制官立広島工業専門学校(現在の広島大学工学部)の学生だった20歳の時に爆心地より約1kmの広島市役所付近の路上で被爆しました。
元教諭で、昭和61年(1986年)に広島市立城南
(じょうなん)中学校長を退任後、被爆者運動に加わり、慢性再生不良性貧血やガンなどの後障害に苦しみながらも、国内外で被爆体験講話等を通じて核兵器廃絶と世界平和を訴えて来られました。
日本原水爆被害者団体協議会代表委員、広島県原爆被害者団体協議会理事長などを務められ、平成23年(2011年)には谷本清
(たにもと きよし)平和賞を受賞されました。
また、平成22年(2010年)から平成31年(2019年)まで広島平和記念資料館展示検討会議の委員として、展示のリニューアルに尽力されました。
「被爆後、簡単に生きてきた訳ではない。考えるのは生きるか死ぬかのことだけであった。被爆者は二重、三重に耐えながらがんばってきた。その事も触れてほしい」との、ご自身の経験を基に発せられる言葉は、展示内容を考える上で職員の大きな励みになり、道標になりました。
「伝え続け、決して途切れさせてはならない」という坪井さんの強い思いは資料館の展示に息づいています。
坪井さんのご生前のご功績を偲
(しの)び、心よりご冥福をお祈りいたします。