5月19日から21日、G7広島サミットが開催され、バイデン米大統領、マクロン仏大統領を始めとするG7各国首脳に加え、インドや韓国など
8か国の招待国の首脳、国連などの国際機関の長、さらにはウクライナのゼレンス
キー大統領も参加する歴史的な会合となりました。
参加された全ての首脳は、岸田
(きしだ)総理ご自身の案内で平和記念資料館を訪問し、原爆死没者慰霊碑に参拝、献花され、被爆者の体験や話にも耳を傾けられました。
慰霊碑参拝の際には、松井
(まつい)広島市長から碑文や原爆
ドームに関する説明を受けて、被爆の実相に直接触れる貴重な機会となりました。
深く感銘を受けた、決して忘れられないと話す首脳がいるなど、世界の指導者に大きなインパクトを与えたことは間違いありません。
G7各国首脳が芳名録に記帳された内容を見ると、核兵器のない世界の実現に向けて、真摯に努力していかねばならない、という指導者としての責任を率直に述べています。
世界の政治指導者として、一人の人間として、平和を願うヒロシマの心に触れ、二度と核兵器は使われてはならない、との思いを深めたものと思います。
また、今回のG7サミットには、インド、ブラジル、インドネシアなどグローバルサウスと呼ばれる諸国も招待されました。
これらの国の外交的立場は様々ですが、世界への影響力は年々大きくなっています。
これらの国の首脳が初めて被爆の実相に触れ、核兵器廃絶を祈念するヒロシマの心に触れたことには大きな意義を感じます。
韓国の大統領も初めての訪問でした。
日韓の首脳が共に韓国人原爆犠牲者慰霊碑に参拝したことは、韓国人被爆者にとっては長年の思いが実現したものでもあり、特筆すべきことでした。
また、ロシアから侵略され、核の威嚇を受けている、ウクライナのゼレンスキー大統領が広島に来られ、被爆の実相に触れ、各国首脳と会談したことにも大きな意義を感じます。
市民の平和な日常や人間の生存を脅かす武力による侵略、核による威嚇を、ましてや核の使用を決して許してはいけません。
一日も早い侵略戦争の終結とウクライナの復興のためにG7始め国際社会は努力していくべきです。
G7広島サミットでは、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」という独立の文書を初めて作成、発表されました。
核兵器禁止条約への言及がないなどの批判はありますが、核兵器国始め、広島に集った全ての国が同文書に盛り込まれた核軍縮、不拡散の取り組みを進めるように、そしてそれが、核兵器なき世界を目指す具体的な政策、行動に結びついていくように、世界の市民の声を結集し、働きかけていきたいと思います。
今回のG7広島サミットにより、世界の関心が被爆地広島に集まりました。
広島が取り組んできた平和運動にとって、最大のチャンスであり、新たなスタートです。
今後世界中からより一層多くの人々、特に若い世代に広島を訪れてもらい、被爆の実相を伝えていきたい、市民レベルの交流を深めていきたいと思います。
そうした一人一人の市民の平和の連帯を世界に広げ、強化していくこと、広く市民社会に平和文化を根付かせていくことこそ、一国の政策を変え、世界を変えていくことに繋(つな)がると信じて努力していきますので、広島平和文化センターへのご支援、ご協力をよろしくお願いします。