被爆体験記の執筆をお手伝いしています
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、被爆者の高齢化が進むなか、「被爆の記憶を体験記に残したいけど、自分ひとりでは文章にまとめられない」という方のために、被爆体験記執筆補助事業を行っています。 この事業は祈念館職員が自宅等に出向いて、被爆体験を聞き取り、体験記としてまとめるもので、平成18年度から実施し、平成24年度までに81人の聞き取りを行いました。 平成25年度は12人の聞き取りを行い、順次、被爆体験記を完成させ、館内で公開しています。 また、企画展やホームページ掲載、多言語化、公的機関への提供等に活用しています。
被爆者にとって、68年前の体験は昨日のことのように脳裏
(のうり)
から離れることがなく、被爆当時の悲惨さを記憶の奥から絞
(しぼ)
り出すように語られます。 皆さんにとって、今まで心の奥底に秘めていた、思い出したくない体験ですが、後世に残すことが自分の使命だとして、応募されています。
今回、執筆をお手伝いさせていただいた髙松勝
(たかまつ まさる)
さん(当時17歳)の被爆体験記(抜粋)をご紹介します。
髙松さんは、勤務先である広島陸軍兵器補給廠
(しょう)
で被爆し、その後、遺体を運ぶ作業に従事しました。
聞き取りの様子
……亡くなった人々をトラックへ積むのが私の仕事でした。 手袋がないので素手で運びました。 皮膚がやけどでズルズルになっていて、体を持ち上げようとすると皮がズルーッとむけます。 そのときの臭いがきつく、ご飯を食べる時もその臭いが手に残っているようで鼻につき、手に紙を巻いて食べたりしました。 7日以降は、このように亡くなった人々を運ぶ活動をしていました。 トラックに積まれた死体は、学校へ運ばれ、兵隊さんが油をかけて焼いていました……
当館では、この事業によるものを含め、現在、約13万編の被爆体験記を公開しています。 ぜひ、ご来館いただき、被爆者の「こころ」と「ことば」にふれてください。
(原爆死没者追悼平和祈念館)
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