和文機関紙「平和文化」No.189, 平成27年7月号
「収蔵資料の紹介」コーナー

今回のテーマは「記憶を遺す」

 「収蔵資料の紹介」コーナーでは、平和記念資料館が収蔵している約二万点の資料の中から、テーマに沿って数点ずつを展示しています。
 一人でも多くの方の遺品にまつわる物語を伝えたいと、平成15年から始めたこの収蔵資料展も、今回で40回目を迎えました。 毎回、小さな展示ケース2つのなかに収まりきれないほどの想いがありました。
 遺品にまつわるお話をうかがう時、ご遺族に辛い記憶を思い出させてしまうことに胸が痛みます。 言葉にしたくないことや、言葉にならないことがたくさんあるだろうと思います。 それでも「こんな思いはもう誰にもさせたくない」と、必死で話してくださる姿に突き動かされ、時に励まされながら、私たちは遺品や資料の調査を続けてきました。
 また、一度うかがったお話の聞き直しも行っています。 改めてご遺族に聞き取りすることで、よみがえる記憶や、新たに生まれる想いを、少しでも遺(のこ)していきたいと考えています。
 今回は、最近の聞き取りによって、より詳しい状況がわかった4人の方の遺品を紹介します。 紡(つむ)ぎなおした4つの記憶が、どうかみなさまの心に遺りますように。
展示場所 平和記念資料館 東館地下1階 ホワイエ
展示期間 平成27年5月20日(水)~11月17日(火)予定
展示資料 実物資料全5点

資料展の展示風景

森光男(もり みつお)くん 当時12歳
県立広島工業学校機械科1年甲組
爆心地から700mの中島新町(なかじましんまち)(現在の中島町)で被爆

 今回の調査で、光男くんが国民学校の時代の先生に宛てたはがきが見つかりました。
「元気よく毎日通学しています。機械科は甲乙組に別れました。甲組にはたいへんえらげ(賢そう)な人ばかりいます。」

(広島平和記念資料館 学芸課)

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