和文機関紙「平和文化」No.196, 平成29年12月号

「核兵器禁止条約」が採択されました!

 国際社会における核兵器の非人道性に対する認識の広がりや核軍縮の停滞などを背景に、2017年7月7日、「核兵器禁止条約」が国連加盟国の6割を超える122か国の賛成により採択され、多くの国が核兵器廃絶に向けて明確な決意を表明しました。 10月には、条約採択への貢献などを理由に「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞するなど、世界的に条約に対する関心と期待が高まっています。
 本号では、条約の主な特徴や今後の流れ等について紹介します。
平和宣言を行う松井市長
核兵器禁止条約の制定交渉会議の様子

1 条約の主な特徴

  • (1) 被爆者(ヒバクシャ)に言及 (前文)
     条約は、被爆者(ヒバクシャ)の苦しみと被害に触れ、人道の諸原則の推進のために、核兵器廃絶に向けて被爆者などが行ってきた努力にも言及しています。
  • (2) 核兵器の開発、実験、使用、使用の威嚇などを禁止 (第1条)  条約は、核兵器の開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移譲、使用、使用の威嚇などの活動を、いかなる場合にも禁止しています。
  • (3) 核保有国の加盟についても規定 (第4条)  条約は、定められた期限までに国際機関の検証を受けて核兵器を廃棄する義務を果たすことを前提に、核保有国も条約に加盟できると規定しています。
  • (4) 条約の運用などについて話し合う会議を開催 (第8条)  条約は、その運用などについて話し合う締約国会議や再検討会議の開催について定めており、いずれの会議にも、条約に加盟していない国やNGOなどをオブザーバーとして招請するとしています。

2 今後の流れ

 2017年9月20日から各国による署名が開始されており、50番目の国が批准した90日後に条約が発効する見込みです。
 また、条約の発効から1年以内に、最初の締約国会議が開かれる予定です。

3 課題など

 今後、核保有国や核の傘の下にある国々を含む全ての国の締結をいかに促進するかが課題となっています。  平和首長会議では、「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名活動を行っており、今後も、加盟都市や市民社会と協働しながら、全ての国による条約締結が促進されるよう引き続き取組を進めていきます。

(平和連帯推進課)

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