1月15日(月)、2017年のノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のベアトリス・フィン事務局長が、川崎哲
(かわさき あきら)国際運営委員と共に広島を訪問しました。
原爆死没者慰霊碑に献花したフィン事務局長(左)と川崎国際運営委員
フィン事務局長は午前中、原爆死没者慰霊碑への参拝・献花や平和記念資料館の見学、被爆体験証言の聴講等により被爆の実相に触れ、午後は、広島市及び当財団主催の「ノーベル平和賞受賞団体ICANのベアトリス・フィン事務局長と語る:平和な世界の実現に向けて」と題した若者との対話集会で、基調講演や広島の若者との意見交換を行いました。
対話集会には約340人の若者や市民が参加し、フィン事務局長と平和への思いを共有しました。
対話集会の第1部では、松井
(まつい)広島市長の開会挨拶に続いて、フィン事務局長が「We Shall Not Repeat the Evil: How Japan Can Lead us Towards a Nuclear Free World」と題した基調講演を行いました。
フィン事務局長は、「核兵器の恐怖を目の当たりにし、その悲惨さを積極的に語り続けた被爆者なくして核兵器禁止条約は生まれなかった」と被爆者の活動を称えるとともに、「核兵器のもたらす結果をどの国よりも知っている日本こそが、核軍縮を先導すべきだ」と訴え、核兵器廃絶に向けての熱い思いを語りました。
また、若者に対し、「希望、活力、ソーシャルメディアという自分たちの強みを活かし、思いを同じくする仲間と繋つながって、より良い未来に向けて行動していってほしい」と語りかけました。
続く質疑応答の時間には、フィン事務局長へ多くの質問があり、活発なやりとりとなりました。
活動を続けていく中で困難な状況に陥ったとき、どのようにして希望を持ち続けているのか、その秘訣
(ひけつ)を尋ねられると、フィン事務局長は、「自分たちは正しいことをしていると信じ、常に前向きであることが大事だ」と述べ、前向きなエネルギーは周りの人を巻き込み、大きな変革に繋がると参加者を勇気づけました。
第2部では、広島の4人の若者がそれぞれの平和活動を発表し、続いてその4人とフィン事務局長による対話が行われました。
フィン事務局長は4人に、「『平和』はとても難しいテーマであり、進展がなかなか見えないため、モチベーションを持ち続けることは大変だが、野心をもって小さな目標を立てることが重要だ」と語りました。
同時に、「誰かがチャンスを与えてくれるのを待つのではなく、自らが進んでチャンスを見つけなければいけない、そして、そのプロセスに楽しみを見出さなければいけない」と激励しました。
また、SNSの活用や、核兵器禁止条約に背を向ける日本政府に政策を転換してもらうよう働き掛けることの重要性を助言し、エールを送りました。
今回の対話集会に参加した若者達にとって、被爆者の思いを受け止め、核兵器のない世界の実現に向けて何をすべきかをしっかりと考え行動している若いフィン事務局長の姿勢を目の当たりにしたことは、自らどのような行動が出来るのかを考える貴重な機会になりました。