被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、広島市と長崎市は共同で、海外において「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開催しています。
平成29年度は、ハンガリーの首都ブダペスト市とモンテネグロのコトル市において、両国で初めて「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開催しました。
展示内容は、ともに、動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生の焼けた水筒などの遺品や、佐々木禎子
(ささき さだこ)さんの折り鶴など、実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル30点などです。
ブダペスト市の岩の病院・核の避難所博物館では、6月1日から10月31日まで開催し、市民や観光客など約9万人の来場がありました。
6月1日の開会式では、広島平和記念資料館の志賀賢治
(しが けんじ)館長らによる挨拶の後、被爆体験証言者の梶本淑子
(かじもと よしこ)さんが、地図や絵などで構成されたスライド資料を効果的に使用して被爆体験証言を行いました。
皆熱心に梶本さんの証言に聞き入っており、中には、目に涙を浮かべて話を聴いている方もいました。
コトル市にあるコトル文化センターでは、11月15日から30日まで開催し、若い世代を中心に約1,600人の来場がありました。
来場者からは、「遺品を見て、原爆の恐ろしさを改めて認識できました」などの感想が寄せられ、核兵器廃絶や平和の尊さへの思いを深めていただくことができました。
11月15日には、コトル市内の高校で山本定男
(やまもと さだお)さんによる被爆体験証言が行われ、200人以上の高校生が証言に耳を傾けました。
コトル市での原爆展終了後、再度、ブダペスト市の岩の病院・核の避難所博物館に展示資料を戻し、平成30年8月31日まで展示を行います。