和文機関紙「平和文化」No.199, 平成30年11月号
―被爆者から語り継がれた思いを聞き、被爆の実相を学んでみませんか―

被爆体験伝承者等を全国に派遣しています

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、被爆者の体験や平和への思いを次世代に語り継ぐため、「被爆体験伝承者等派遣事業」を本年度から開始し、被爆者から直接受け継いだ体験を語り継ぐ「被爆体験伝承者」や被爆者が記した被爆体験記・原爆詩を朗読する「被爆体験記朗読ボランティア」を全国に派遣しています。
 派遣者は、申し込まれた団体が行う平和学習等の場で、被爆体験伝承講話又は被爆体験記朗読会を実施します。
 修学旅行の事前学習などに活用する学校や、なかなか広島に来られない子供達に、原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さを伝えるため、交通費などを当館が負担し、全国に被爆体験伝承者等を無料で派遣しています。
 平成30年10月末現在、274件の申込を受けており、これまでに206件派遣しました(被爆体験伝承講話・179件、被爆体験記朗読会・27件)。
 派遣先の学校等からは、児童たちが最後まで引き込まれ聴いている様子だった、などの感想が寄せられています。
 また、海外にも被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた世論を醸成するため、平成30年11月に、イギリスのマンチェスター市とコベントリー市に被爆体験伝承者1人と被爆体験記朗読ボランティア2人を派遣しました。
 両市において、小学校での被爆体験伝承講話、被爆体験記朗読会の開催や、平和団体所属の市民等との交流会などを行いました。
【寄せられた感想(抜粋)】
大阪府高槻(たかつき)市立奥坂(おくさか)小学校
奥坂小学校での講話の様子
奥坂小学校での講話の様子
 広島市の地図を元に、原子爆弾、被害の様子、池田精子(いけだ せいこ)さんの被爆体験について詳しくお話しいただきました。 また最後には、伝承者の古田(ふるた)さんが、お父様の体験から自身がお感じになったことを話していただき、さらに当時の様子をイメージすることができました。
 児童の感想からは「いかに核兵器がひどいものかがわかった」、「この貴重な話を覚えておき、自分たちがこれから伝えていく」、「平和の種をもらったので、それに花をさかせられるように戦争についてしっかりと学びたい」などの感想が見られました。
宮崎県西都(さいと)市立妻南(つまみなみ)小学校
妻南小学校での朗読会の様子
妻南小学校での朗読会の様子
 とても素晴らしい朗読会でした。 詩を見せずに、ゆっくりと語りかけるように聴かせるという手法、間合い・トーン・表情・ジェスチャーなど、その状況が目に浮かび、作者の悲しみが子供たちに十分伝わってきました。
 テレビや新聞などを通してなんとなく知識として知っていた子供たちでした。 実際被爆された方々の詩や体験記は、戦争や原爆の怖さや、悲しさ、悲惨さを痛感させられるものでした。 朗読会の途中、思わず涙ぐむ子や、教室に戻った後、静かに体験記を読み返す子もおり、深く平和について考えたようでした。
 お越しいただいて、貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

(原爆死没者追悼平和祈念館)

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