被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、広島市と長崎市は共同で、海外において「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開催しています。
平成30年度はハンガリーの首都ブダペスト市、フランスのカーン市、そしてベルギーのイーペル市において、「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開催しました。
展示内容は、動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生の焼けた水筒などの遺品や、佐々木禎子
(ささき さだこ)さんの折り鶴など、実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル30点などです。
ブダペスト市の岩の病院・核の避難所博物館では、平成29年前半に引き続いて同年12月20日から平成30年8月31日まで開催し、市民や観光客など約11万3千2百人の来場がありました。
カーン市のカーン記念館では、平成30年9月20日から10月31日まで開催し、約1万人の来場がありました。
9月19日には、開会式で広島平和記念資料館の志賀賢治
(しが けんじ)館長らが挨拶を行った後、被爆体験証言者の梶本淑子
(かじもと よしこ)さんが、地図や絵などで構成されたスライド資料を効果的に使用して証言を行いました。
このほか、フランス国内の2か所でも被爆体験証言を行いました。
第一次世界大戦中、化学兵器が史上初めて本格使用されたイーペル市では、第一次世界大戦終結から100年を迎えるのに合わせて、平成30年11月9日から12月2日まで、イーペル博物館において原爆展を開催しました。
11月9日の開会式ではヤン・デュルネ イーペル市長、林肇
(はやし はじめ)駐ベルギー特命全権大使、志賀館長らが挨拶を行いました。
また、ベルギー国内で4回実施した笠岡貞江
(かさおか さだえ)さんによる被爆体験証言では、大学生や市民が熱心に証言に耳を傾け、証言終了後には、放射線の影響や被爆後の様子について笠岡さんへ質問が多く寄せられました。
展示資料の見学や被爆体験の聴講を通して、核兵器廃絶や平和の尊さへの思いを深めていただくことができました。