和文機関紙「平和文化」No.201, 令和元年8月号

資料展「広島市中島本町53番地 大正屋呉服店」を開催しています

大正屋呉服店
1929年(昭和4年)3月に撮影された新築の大正屋呉服店 (清水建設株式会社提供)
 平和記念資料館では、平和記念公園レストハウスの前身・大正屋呉服店が、90年前の3月20日に開店したことを記念して、この建物の被爆前の軌跡をたどる資料展を、平成31年3月20日から令和元年9月末(予定)まで当館東館地下1階で開催しています。
 現在、耐震化等の改修工事中のレストハウスは、大ヒットしたアニメーション映画「この世界の片隅に」の冒頭に登場し、戦前の広島と今の広島をつなぐ存在として、改めて注目が集まっています。 今まで広島では、大正屋呉服店は大阪に本店があったらしいと漠然と伝承されてきました。 今回の資料展では、新たに確認された資料により、大正屋呉服店は、大阪・船場(ぜんば)の呉服問屋「中谷伊助(なかたに いすけ)商店」が広島で始めた呉服小売業であったことが初めて確認されました。 大正屋呉服店がモダンな鉄筋コンクリート造のビルに新築できたのは、船場の呉服問屋の資本力の賜物であったのです。
 大正屋呉服店の新築から閉店、「燃料会館」となり被爆するまでの軌跡を、約60点の写真等で紹介しています。 大正屋呉服店で働いていた方のご家族からご提供いただいた貴重な写真も含まれています。 また、情報資料室内の展示ケースでは、戦争の激化により広島市内の呉服商組合が事実上解散する昭和18年末の複製資料をご覧いただけます。
 来場者からは、「レストハウスの戦前の様子を初めて知りました」、「水洗トイレまである立派なビルだったとは知りませんでした」、「アニメ映画のファンで、主人公のすずさんがもたれかかっていたショーウィンドウの写真が見たくて来ました」等の感想が寄せられています。

(平和記念資料館 学芸課)

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