和文機関紙「平和文化」No.204, 令和2年7月号

被爆75年 センターは各分野の事業を推進

 被爆75年の今年、(公財)広島平和文化センターは被爆体験の継承、平和の推進、国際交流・協力の促進の三つを柱として各種事業を行っています。
 まず、被爆体験の継承のための取組についてですが、平和記念資料館は被爆者の遺品、被災写真、市民が描いた原爆の絵などの実物資料により、被爆の実相を伝えています。 今年、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため約3か月間にわたり休館を余儀なくされましたが、この間、学芸員の解説動画を加えた展示紹介や、修学旅行生に体験を語る被爆者の動画などをホームページで公開。 またウェブ会議システムを利用した海外向けの勉強会を開催するなど、インターネットを活用した発信に取り組みました。 そして6月1日、密集や密接を避ける感染防止策を講じながら再開しました。 資料館は開館65年を迎え、これまでの館のあゆみを振り返る企画展を開催します。
 このほか、米国・ハワイでは初めてとなる原爆展を開催するなど、幅広い場面で被爆の実相とヒロシマの願いを伝えていきます。
 また、追悼平和祈念館では、外国人の方に被爆体験記を母国語で読むことによって原爆被害の実相への理解を一層深めていただけるよう、「平和情報ネットワーク」で日本語のほか27の言語で被爆体験記を紹介しています。
 次に、平和の推進についてです。 財団内に事務局を置く平和首長会議では、被爆者の存命のうちに核兵器廃絶を実現したいと願い、これまで様々な取組を展開してきました。 特に今年は「2020ビジョン」の最終年にも当たり、総会の開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、来年の8月を目処に延期しました。
 こうした中にあっても、多くの人々にあらためて被爆者の核兵器廃絶への思いを共有していただくため、被爆から75年となる今夏、“No more Hiroshima! No more Nagasaki!” (ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ナガサキ!)をコアコンセプトとして様々な取組を行っています。 広島・長崎の被爆者や平和首長会議役員都市、国連、各国政府、NGOの代表から寄せられたビデオメッセージを配信しているほか、国内外の青少年を対象としたオンラインセミナーを開催する予定です。 そして、平和首長会議の加盟都市にこのコンセプトの下で取組を進めるよう呼び掛けることにより、世界中の市民に核兵器廃絶への思いを共有してもらえるよう、共感の輪を広げていきたいと考えています。
高校生の折鶴を手渡す松井市長

愛知県の高校生が折った折鶴を姉妹都市ドイツ・ハノーバー市の副市長に手渡す松井会長(2019年11月11日)

 このほかにも、子どもたちから寄せてもらった平和のメッセージを8月6日に平和記念公園内に展示し、平和のバトンを未来へ繋(つな)ぐ取組など、若い世代の平和意識の高揚を図る事業を展開します。
 最後に、本財団では、在住外国人を含む参加市民に楽しみながら外国文化に触れていただき、国際交流・協力、多文化共生に対する理解を深める機会を提供する「国際フェスタ」の開催や、姉妹・友好都市との交流、日本人と外国人が交流するための場所と情報を提供する国際交流ラウンジの運営などを通して、国際交流の一層の促進と市民の国際意識の高揚を図っています。
 また、多文化共生のまちづくりの推進のため、外国人市民の生活相談コーナーを運営するほか、日本語能力向上支援として日本語講座の開設や日本の習慣文化を理解してもらう取組を進めていきます。
(総 務 課)
 
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