和文機関紙「平和文化」No.204, 令和2年7月号

ウェブ会議システムによる海外への被爆体験証言

~コロナ禍でも/だからこそ、被爆の実相を世界に~
 平和記念資料館では、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により各国において国をまたぐ移動が制限される中でも、ヒロシマで起きたことを広く国外の人々に伝え、核兵器廃絶に向けての国際世論を醸成するため、インターネット回線を利用して被爆体験講話を行う「ウェブ会議システムによる海外への被爆体験証言」に取り組んでいます。
 欧米各国がロックダウン(都市封鎖)されたため、予定されていた現地の集会がかなわなくなり中止となった講話もありましたが、4月から6月にかけて、核超大国アメリカの参加者に対して4回実施することができました。
海外への講話(小倉桂子さん)

アメリカ・オレゴン州の複数の家庭とつながり講話する小倉桂子さん

 小倉桂子(おぐら けいこ)さんの講話を子供と聴講したアメリカ西海岸オレゴン州の女性は、 「小倉さんの証言をきっかけに、子供たちと戦争や平和、そして核兵器について話し始めることができる」 と話されると共に、コロナ禍で外出できない状況下でもオンラインで広島に住む小倉さんとつながれたことへの感謝を述べられていました。
 平成22年(2010年)から実施している本事業ですが、今年、初めての試みもありました。 平素は講話を行う方に来館していただき、会議室のインターネット回線と機材を用いて講話を行っていますが、外出自粛要請により担当の被爆体験証言者が来館できなくなったため、急きょ、自宅でウェブ会議システムを利用できる被爆体験伝承者が講話を行いました。 ハワイの非営利団体「パシフィック・ヒストリック・パークス(PHP)」が開催したオンライン講座で、瀬越睦彦(せごし むつひこ)さん(故人)の被爆体験を受け継いだ被爆体験伝承者の沖本直子(おきもと なおこ)さんが、全米からの参加者約100人に講話を行いました。
 当館は今後もインターネット技術等を活用し、「ウィズコロナ・アフターコロナの時代」においても引き続き国内外へ被爆の実相を伝えていきます。
(平和記念資料館 啓発課)
 
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