和文機関紙「平和文化」No.209, 令和4年8月号

海外の博物館の取組を通じて次世代への継承を考える

―記憶を伝える海外の博物館と結ぶオンラインイベントを開催―
 平和記念資料館では、海外博物館とのネットワークを構築し、関係性を強化するため、核兵器保有国等における「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」開催に合わせて、平和をテーマとした博物館を訪問し、核兵器廃絶や世界恒久平和を目指した取組を共同で展開することなどの連携策について、協議・調整を進めています。
 コロナ禍で海外渡航が困難な中、これまで構築したネットワークを活用し、昨年7月のハワイ、9月のロサンゼルスに引き続き、「記憶を伝える海外の博物館と結ぶオンラインイベント」の3回目を今年3月23日(水)にポーランドの国立アウシュヴィッツ博物館の唯一の公式日本人ガイドである中谷剛(なかたに たけし)氏と結んで開催しました。 今回は、10代から80代まで約210人がオンラインで参加しました。
 イベントでは、「アウシュヴィッツ強制収容所の歴史継承」と題して、講師の中谷氏にアウシュヴィッツ強制収容所の歴史、アウシュヴィッツ博物館ガイドの役割、そして、次世代への継承等についてお話しいただいた後、参加者との質疑応答を行いました。 また、ウクライナの隣国であるポーランドの現在の状況についても説明がありました。
アウシュヴィッツ強制収容所
アウシュヴィッツ強制収容所
 参加者からは、「わかりやすい内容で、かつ、現在の世界情勢に合致した話題も盛り込まれており、充実していた」、「毎日歴史をどのように伝えるかに向き合っておられる方の言葉は重く、感銘を受けました」、「ヒロシマを継承し、若い世代に伝えていくに当たり、中谷さんのお話は重要な指針になりました」などの感想が寄せられました。 また、「世界の戦争被害に関するイベントを引き続き企画してほしい」などの要望もありました。
 被爆者の高齢化が進み、被爆体験を次世代に引き継いでいくことが課題になっている中、本イベントを通して、参加者の方々に歴史を語り継ぐことの重要性について改めて考えていただく機会を提供することができました。
 平和記念資料館では、引き続き、平和をテーマとする海外の博物館とのネットワークを構築し、平和のメッセージを広く発信していきます。
(平和記念資料館 啓発課)
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