広島市は、長崎市と共同で、ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーンの国連施設において原爆展を常設しています。
原爆展を通して、より効果的に被爆の実相を伝えるためには、案内役のガイドやガイドツアー担当職員に被爆の実相を共有してもらうことが不可欠です。
このため、各施設の見学ツアーガイドを広島に招へいし、被爆の実相について学んでもらう「国連見学ツアーガイドのヒロシマ研修」を平成29年度(2017年度)から実施しています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、過去2年は様々な試行錯誤のうえ、オンラインで研修を実施していましたが、渡航制限の緩和等により、令和4年度(2022年度)は3年ぶりに国連ツアーガイド等6人の広島への招へいが実現し、被爆の実相に関する現地研修を、昨年11月28日から12月2日までの5日間、実施しました。
研修初日には広島平和記念資料館常設展示の見学を、翌日には平和記念公園の碑巡りを案内ガイドの解説付きで行いました。
また、原爆ドームの内部に立ち入り、原爆の凄まじい威力に参加者は息を呑みました。
3日目には、長崎における被爆の実相について理解を深めるため、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の山口響
(やまぐち ひびき)客員研究員をお招きし、長崎における被爆の実相について解説していただきました。
午後には、本川
(ほんかわ)小学校平和資料館を訪問し、ガイドの岩田美穂
(いわた みほ)さんに館内をご案内いただき、絵本「いわたくんちのおばあちゃん」のモデルとなった母・綿岡智津子
(わたおか ちづこ)さんの体験をご紹介いただきました。
さらに、本財団の被爆体験証言者である八幡照子
(やはた てるこ)さん、岸田弘子
(きしだ ひろこ)さんに被爆体験講話を行っていただき、実際に被爆された方の体験談を直接聴くことにより、参加者は当時の状況についてより一層思いを巡らせました。
参加者からは、「実際に広島に来たことで、原爆による被害をより鮮明に感じ取ることができた」「被爆者の方からのメッセージを原動力として、今後も核兵器の問題に取り組みたい」「広島での経験をツアーに反映させ、核兵器廃絶の必要性をよりリアリティを伴って訴えたい」との感想が寄せられました。
今後もこの事業を中心に、国連各施設における原爆被害に関する展示の充実や、各施設で行われるツアーでの被爆・核兵器廃絶に関する解説内容の拡充を図り、国際社会での「ヒロシマの心」の発信力の強化に努めていきます。
(平和記念資料館 啓発課)