海外では必ずしも原爆の壊滅的で非人道的な被害が十分に認識されていない実情に鑑み、世界のできるだけ多くの人々に被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けての意識を共有してもらうことができるよう、平成7年度より海外でのヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展を開催しています。
令和7年度の一都市目は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)及びオーストラリア戦争防止医療者協会(MAPW)の協力の下、令和7年5月10日から6月21日までオーストラリアのパース市においてヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展を開催しました。
動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生が原爆投下時に身に着けていた腕章を始め、中身が黒焦げになった弁当箱の複製など実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル30点、サダコと折り鶴ポスター25点を展示するとともに、被爆者証言ビデオや映画の上映、VR体験などを行いました。
また、開会行事にあわせて渡航した本財団委嘱被爆体験証言者の八幡照子
(やはた てるこ)さんが、展示会場、現地の大学等で被爆体験証言を計3回行いました。
さらに、開催期間中には、進駐軍として戦後広島に入り、その後、オーストラリアのモンテベロ諸島で実施された核実験に従事したビル・プレライト氏や、メリッサ・パークICAN事務局長等の講演会も実施されました。
展示会のアンケートには、「核兵器の非人道性に衝撃を受けた」、「素晴らしく、時宜を得た展示会。すべての学校の子どもたちや一般の人々が訪れるべき」などの感想が寄せられました。
ロシアによるウクライナ侵攻や各地での緊張の高まりが続いている中、今回の原爆・平和展及び被爆体験証言等を通じて、被爆の実相や核兵器の非人道性を、より切実かつ身近な問題として多くの人々に伝えることができたことは大きな意義があったと考えています。
(平和首長会議・国際政策課)