2020年NPT再検討会議第2回準備委員会に合わせ平和首長会議が代表団を派遣
 平和首長会議(会長 松井(まつい)一實(かずみ)広島市長)は、今年4月、スイス・ジュネーブ市で開催された2020年NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議第2回準備委員会に合わせて代表団を派遣し、国連、各国政府関係者等に、NPT第六条の核軍縮の誠実交渉義務を遂行するとともに、核兵器禁止条約を更に活かしていくよう訴え、平和首長会議の取組に対する理解と協力を求めました。 また、ユースフォーラムや原爆ポスター展を開催しました。
 併せて、フランスのパリ市及びスペインのゲルニカ・ルモ市で開催された被爆樹木の苗木の贈呈式や植樹式に出席し、被爆地からのメッセージを伝え、平和への思いを共有しました。

4月23日(月)
 2020年NPT再検討会議第2回準備委員会のアダム・ブガイスキー議長(ポーランド)は、開会挨拶で、各国政府代表者に対し、互いに意見を述べて耳を傾け合い、全ての国をまとめ得る方策が何であるか考えてほしいと激励されました。
 代表団は、会議を傍聴した後、2016年に平和首長会議が贈呈し、国連欧州本部の敷地内に植樹された被爆樹木二世のイチョウを視察し、順調に育っていることを確認しました。
 その後、UNITAR(国連訓練調査研究所)のアレックス・メヒヤ分散協調プログラム部長との昼食会に参加した松井会長は、平和首長会議がUNITAR広島事務所も参画している「グリーン・レガシー・ヒロシマ・イニシアティブ」と協力して、被爆樹
準備委員会を傍聴する松井会長と小溝(こみぞ)泰義(やすよし)事務総長(本財
団理事長)
木の種や苗木を国内外の加盟都市へ配付する取組を行っていることを紹介しました。
 さらに、松井会長は田上(たうえ)富久(とみひさ)副会長(長崎市長)と共に、平和首長会議加盟都市であるジュネーブ市のレミー・パガーニ市長と面会し、スイスを束ねるリーダー都市に就任し、加盟拡大に向けた取組や国内の影響力のある都市との連携を推進してほしいと依頼しました。
 パガーニ市長は、広島・長崎両市との友好的なつながりについて大切に考えており、平和首長会議の取組を支援すると述べられました。
 続いて、ICRC(赤十字国際委員会)のジル・カルボニエ副総裁と面会し、平和首長会議とICRCは人間の安全保障を考え、核兵器廃絶という同じ目標に向けて並走していくパートナーであり、今後も協働していくことを確認しました。

4月24日(火)
千羽鶴を受け取るブガイスキー準備委員会議長
ホワイト大使へ署名目録を手渡した高校生たち
 最初に、ブガイスキー準備委員会議長と面会しました。 議長は、立場が異なる全ての国々、市民が力を合わせて核兵器の保有と使用の危険性を伝え、NPTが定める目標に向かって進んでいかねばならないとの見解を示されました。
 松井会長は、被爆地の願いに沿った対応を、核保有国にもその傘の下の国々にもお願いしたいと述べました。
 田上副会長は、被爆の実相に触れていただくため、準備委員会の会場前で開催している平和首長会議原爆ポスター展を委員会出席者に見ていただきたいと伝えました。
 その後、「核廃絶!ヒロシマ・中高生による署名キャンペーン」に参加し平和首長会議の活動に協力している広島・沖縄からの派遣高校生8人と共に、在ジュネーブ国際機関コスタリカ政府代表部のエレン・ホワイト大使(元核兵器禁止条約交渉会議議長)を訪ねました。 高校生の代表者からホワイト大使に「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名目録を手渡したところ、大使から高校生に心のこもった励ましのメッセージが贈られました。
 署名目録の手交行事に続き、田上副会長と共に大使との意見交換を行った松井会長は、「同じ思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の切なる願いをしっかり伝えていきたいとの思いを述べました。
 その後、米国国務省国際安全保障・不拡散局のクリストファー・フォード次官補と面会しました。 核保有国も含めて対話を促進することにより、核軍縮を進めるべきとの平和首長会議の考えに対し、フォード次官補は、全ての国による有用かつ建設的な対話を通して核軍縮を進めていきたいと述べられました。

4月25日(水)
 松井会長と田上副会長は、準備委員会のNGOセッションで最終発言者を務めました。 松井会長は、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を進めなければいけないと述べ、国際社会は理性的な対話の努力によって協調的安全保障を追求するべきであると訴えました。 また、田上副会長は、各国の指導者に、被爆地を訪れ、被爆の実相を理解するとともに、核抑止力に依存しない安全保障政策を追求するよう求めました。
 続いて、在ジュネーブ国際機関代表部のエリザベス・ティッチー・フィスルベルガー大使(オーストリア)等と面会し、松井会長は、国を支える都市が核兵器禁止条約への賛同を表明することで為政
NGOセッションでスピーチする松井会長
者の考えを変えることができるよう、核保有国でも加盟都市を増やしていきたいとの思いを伝えました。
 その後、ICRC主催による核兵器に関するワークショップのレセプションに参加した松井会長は、各国の赤十字関係者を前に、平和首長会議の活動を紹介し、今後もICRCを始めとした平和関係の国際組織と連携していきたいと挨拶しました。

4月26日(木)
平和首長会議主催ユースフォーラムの様子
 準備委員会のサイドイベントとして開催した平和首長会議主催ユースフォーラムでは、広島・沖縄からの派遣高校生のほか、ナガサキ・ユース代表団や、スペイン・グラノラーズ市など平和首長会議加盟都市等の青少年が、自分達の活動や平和への思いについて発表し、意見交換を行いました。
 その後開催された、第10回平和首長会議理事会には役員都市10都市が出席し、小溝(こみぞ)泰義(やすよし)事務総長(本財団理事長)の進行により、昨年策定した平和首長会議行動計画の推進方策について協議しました。 リーダー都市を中心とした活動の強化や加盟拡大に向け、活発な意見交換がなされました。
 続いて、平和首長会議の役員都市と共に、ジュネーブ市主催の夕食会に参加し、今後のスイスにおける平和首長会議の活動について、意見交換を行いました。

4月23日(月)〜4月26日(木)
 準備委員会の会場となった国連欧州本部内で、会議に参加した方々に被爆の実相についての理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆ポスター展を実施しました。

4月27日(金)
 松井会長及び小溝事務総長はパリ市へ移動し、木寺(きてら)昌人(まさと)駐フランス日本国特命全権大使主催の昼食会に参加しました。 大使は、パリ郊外の公文書館で昨年開催された原爆展に自身が出席したことを紹介され、広島は必ず一度は訪れるべき場所であると述べられました。
 続いて、フランス平和首長会議(AFCDRP)事務局長であるミシェル・シボ氏及び同夫人でひろしま平和大使を務める美帆(みほ)・シボ氏と面会しました。 美帆氏は、フランスが核兵器の開発・増強をしようとしている状況下で、今回首都のパリ市において被爆樹木の苗木の贈呈式を行うことは、大きな意義があると述べられました。

4月28日(土)
 松井会長は、被爆樹木の苗木の贈呈式に先立って、パリ市のマオ・プニノー副市長と面会し、苗木がパリ市で大切に育てられ、多くの人に世界恒久平和を願う気持ちを持ってもらうことで、フランスにおける核兵器廃絶に向けた世論が高まっていくことを希望すると伝えました。
 被爆樹木の苗木の贈呈式でプニノー副市長は、今後ともこのイチョウを長く続く2都市の協力関係のシンボルとして、連携した取組を進めていきたいと述べられました。
 その後、松井会長と小溝事務総長は、スペイン内戦中の1937年に都市無差別爆撃を受けたゲルニカ・ルモ市へ移動しました。 平和博物館を訪
被爆樹木の苗木を受け取るプニノー副市長
問し、ゲルニカ爆撃の証言活動をしている方から体験を聞いた後、同市のマリア・ウリベ副市長等との夕食会があり、ゲルニカと平和の思いを共有する都市である広島からの訪問者として、歓待していただきました。

4月29日(日)
 ゲルニカ・ルモ市のホセ・ゴローニョ市長主催歓迎行事に出席した松井会長は、両市は市民に対する無差別攻撃という点で同じ惨禍を経験しており、今後も世界恒久平和を願う気持ちを共有しながら連携していきたいと伝えました。
 その後、ゴローニョ市長の案内により、被爆樹木と同様に希望と未来を象徴するシンボルとなっている、ゲルニカの木や爆撃を免れた古い建物・防空壕(ぼうくうごう)などを見学しました。
ゲルニカ・ルモ市での被爆樹木の苗木の植樹式の様子
 続いて開催された、ゲルニカ・ルモ市のあるビスカヤ県のアナ・オタドゥイ県議会議長主催歓迎行事において、議長は、これからも犠牲となった方々へ敬意を払い、記憶に留めながら、両市が一緒に平和への第一歩を踏み出しましょうと、心温まるスピーチをされました。
 議事堂の裏手に広がるヨーロッパ公園で行われた被爆樹木の苗木の植樹式では、苗木を提供したスペインの副会長都市であるグラノラーズ市のジョセフ・マヨラル市長も加わり、平和首長会議の連帯を示す機会となりました。
出張を終えて
 今回のジュネーブ市での準備委員会への出席に際しては、ブガイスキー議長をはじめとして、オーストリアやコスタリカといった核兵器禁止条約推進派の国の大使、更には、核保有国の米国政府代表とも面会し、すべての国の共通の目標である核兵器のない世界の実現に向けて、理性に基づいた対話を大切にしながら、まずはNPTを推進し、その先に核兵器禁止条約を据えた取組を推進していくことの重要性を訴えました。
 また、平和首長会議としては、市民社会の中で、為政者が安全保障の問題において長期的な視点を持ってリーダーシップを発揮できるような環境づくりを進めており、核保有国や傘の下の国においても加盟都市を更に増やしていきたいと考えているので、是非協力してほしいと要請しました。
 ジュネーブ市での活動に続いて、フランスのパリ市とスペインのゲルニカ・ルモ市で、それぞれ近隣の役員都市の協力を得ながら、被爆樹木の苗木の贈呈式、植樹式を行いました。 今後両市で苗木が大きく育つにつれ、市民の心に世界恒久平和や核兵器廃絶を願う気持ちが強く根付いていくことを期待しています。 また、心のこもった対応をしていただいた両市に感謝するとともに、今回培った協力関係を今後も継続していきたいと考えています。

(平和連帯推進課)

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