第86回全米市長会議年次総会への出席等のため米国を訪問
 平和首長会議の松井(まつい)一實(かずみ)会長(広島市長)及び小溝(こみぞ)泰義(やすよし)事務総長(本財団理事長)は、米国のマサチューセッツ州ボストン市で開催された第86回全米市長会議年次総会に出席し、世界恒久平和の実現に向けた都市・市民レベルの活動を広げるため、平和首長会議の取組への理解・協力を求めるとともに、平和首長会議への加盟を呼び掛けました。
 併せて、マサチューセッツ州ケンブリッジ市の公立高校及びワシントンDCのカーネギー国際平和財団で講演を行い、被爆の実相や被爆者の切なる思いを伝え、平和への思いを共有しました。

6月8日(金)
 松井会長は全米市長会議年次総会(初日)に出席した後、平和首長会議副会長都市であり、米国のリーダー都市であるアイオワ州デモイン市のフランクリン・カウニー市長や、来年の開催都市の市長として参加している、広島市の姉妹都市であるハワイ州ホノルル市のカーク・コールドウェル市長等と面会しました。
 続いて、ケンブリッジ市の公立高校であるケンブリッジ・リンジ・アンド・ラテン・スクールにおいて、世界史を選択している約100人の高校生等に講演を行い、被爆の実相や「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」との被爆者の思いを伝えました。 また、次代を担う青少年には民族、宗教、言語などの違いを超えて、未来志向の対話を重ね、核兵器のない世界の実現への道を共に歩んでほしいとの期待を述べました。 質疑応答では多くの質問が寄せられ、対話により相互理解を深め、多様性を尊重することの重要性や、世界で持続可能な開発が行われていくよう、市民が政治家をしっかりと選ぶとともに、そうした政治家を後押しする
ケンブリッジ・リンジ・アンド・ラテン・スクールでの講演
環境づくりを進めていく市民社会の役割などについて伝えました。
 その後、道井(みちい)緑一郎(ろくいちろう)在ボストン日本国総領事主催夕食会では、高校での講演について報告し、日米の教育制度の違いなどについて意見交換を行いました。 また、数多くあるボストン市内の大学で「広島・長崎講座」が開設されるよう、協力を依頼しました。

6月9日(土)
 全米市長会議年次総会(2日目)の開会行事では、開催都市であるボストン市のマーティー・ウォルシュ市長が、自ら移民の子として生まれてきたことに触れ、現在の米国の移民政策の中では、多様な背景を持つ市民と向き合っている市長の役割がますます重要になってきていると述べられました。 また、全米市長会議会長であるサウスカロライナ州コロンビア市のステファン・ベンジャミン市長は、大気汚染の改善や安全な学校生活と教育の提供、貧困対策等によって人間の尊厳を回復することにより、全ての市民がより良い人生を送ることができるようにしたいと述べられました。
 その後、夜のプログラムで同席したカリフォルニア州ビバリーヒルズ市長等に対して平和首長会議の活動を紹介し、加盟を要請しました。

6月10日(日)
 全米市長会議年次総会(3日目)では、デモイン市長により提案された核兵器廃絶に向けて平和首長会議の取組を支持する決議文の総会への上程について議論する国際委員会に出席しました。 この決議文は全会一致で総会へ上程することが決定し、これまでで最多の26人の市長の共同提案を得て、総会で採択されました。
 この総会で、松井会長はホノルル市長の紹介を受け、スタンディングオベーションの中で登壇し、約
全米市長会議年次総会でのスピーチ
300人を前にスピーチを行いました。 その中で、「平和首長会議では、各都市の首長の共通の使命は、一般市民の安全で安心な暮らしを守ることであり、それなくして世界平和は達成できないと考えている。そのため、『核兵器のない世界の実現』と『安全で活力のある都市の実現』という2つの目標を掲げて取組を進めているので、米国においても、リーダー都市のデモイン市を中心とした加盟都市による主体的な活動に、皆さんも加わってほしい」と協力を依頼しました。
 スピーチ終了後、多くの市長から賛同の言葉をかけられ、平和首長会議への加盟を要請したところ、前向きな回答がありました。
6月11日(月)
 ワシントンDCに移動した松井会長は、核軍縮や不拡散など、様々な分野で啓発活動を行っているカーネギー国際平和財団において、平和NGOやマスコミ、大学生など約50人を前に講演を行いました。 被爆地の市長として被爆者の切なる思いを伝えるとともに、「現下の国際情勢は、北東アジアにおける米朝首脳会談の影響や中東におけるイランとの核合意の行方はいずれも見通しが立たない状況にあるが、世界恒久平和の実現に向けて、立場を超えた対話を重ねることにより、核抑止政策と決別し、より長期的な視点に立って、自国のみのための安全保障ではなく、人類のための協調的な安全保障を目指していくとの認識を持ってほしい」と訴えました。
カーネギー国際平和財団での講演
 講演終了後、国防総省や国務省で国際安全保障や軍備管理に携わった経験を持つ同財団のジェームズ・ショフ上級研究員とジョン・ウォルフスタール研究員、小溝事務総長を交え、パネル・ディスカッションを行い、会場の参列者からも多くの質問やコメントがありました。
 その後、ワシントンDCのシンクタンクである軍備管理協会のトーマス・カントリーマン理事長と面会し、米朝首脳会談や日米関係について意見交換を行いました。
 また、連邦政府の建物でエド・マーキー米国上院議員と面会し、核兵器禁止条約の早期発効と核兵器廃絶に向け、米国内での民意の形成と平和首長会議加盟都市の拡大への支援を要請しました。
 相川(あいかわ)一俊(かずとし)在米国日本国大使館特命全権公使主催夕食会では、平和首長会議は市民の安全で安心な生活を脅かす核兵器の廃絶に向け、民意を受けて、超党派の組織として、今後も堅実・確実な歩みを続けていくので、ご協力いただきたいと依頼しました。

出張を終えて
 今回の米国訪問では、多くの青少年や市長、政府で軍備管理、核軍縮・不拡散、国際安全保障に携わってきたシンクタンクの研究者、平和NGO、現職の上院議員など、核超大国の様々な立場の人々に面会し、被爆の実相や被爆者の思いを直接伝えることができました。 また同時に、平和首長会議としての取組を紹介し、協働を呼び掛けることができました。 核軍縮はすべての核保有国が実行すべきものであるという世論が米国でも広がり、市民社会が連帯して、為政者を後押しするような環境づくりが重要です。 それを進めていくためにも、今回面会した方々と今後も連携しながら、平和首長会議の取組を広げていきたいと考えています。

(平和連帯推進課)

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