“平和について思う”
ヒロシマ平和創造基金の取り組み
公益財団法人ヒロシマ平和創造基金 事務局次長 谷口 裕之
プロフィール
〔たにぐち ひろゆき〕

1957年広島市生まれ。
1981年中国新聞社入社、編集局や福山支社、笠岡(かさおか)出雲(いずも)三次(みよし)支局で記者活動。
2016年からヒロシマ平和創造基金・広島国際文化財団出向。 中国経済クラブ、広島日米協会の事務局次長を兼ねる。

平和と国際理解の推進・支援へ7事業
 ヒロシマ平和創造基金は、平和や国際理解につながるさまざまな活動を推進・支援しています。 平成24年(2012年)2月、一般財団法人として設立され、同年8月6日に公益財団法人となりました。 人類で初めて原爆の惨禍を体験した広島市民の平和への願いが当基金の活動の基盤です。
 事業は「平和活動」と「国際交流活動」の2部門に大別でき、全部で7つの推進・支援事業を行っています。
2017年の「ヒロシマ・アピールズ」ポスター
(はら)研哉(けんや)氏制作)
 平和活動は計4事業。 このうち当基金が主催する推進事業は、ヒロシマの心を国内外に視覚を通して訴える「ヒロシマ・アピールズポスターの制作」、中国新聞社のヒロシマ平和メディアセンターと連携してウェブ展開する「ヒロシマ情報の多言語発信」の2つです。
 活動を後押しする形の事業としては「ヒロシマ・ピースグラント」「ひろしまフラワーフェスティバル(FF)支援」があります。 ピースグラントは平和につながる草の根的な活動・企画を応援します。 FF支援は祭りの中のおりづるパレードなど平和関連企画を資金面で助成します。 なお、ピースグラント、FF支援ともに選考委員会での審査を経て決定します。
 もう1つの柱、国際交流活動は3事業から成ります。 推進事業の「国際交流フェスティバル(ぺあせろべ)」は、広島在住の外国人家族や留学生と市民に食や遊びを通して相互理解を深めてもらう催しです。 市民組織による実行委員会とともに毎年秋に企画し、中区の広島市中央公園で開きます。
 支援事業には「ヒロシマ・スカラシップ」「国際交流奨励賞」の2つがあります。 スカラシップは、さまざまな芸術分野でチャレンジする
若い才能に奨学金を贈る制度。 海外留学奨学金、中村音楽奨学金の2系統あり、選考を経て対象者を決めます。 国際交流奨励賞は、国境を越えた相互理解と友好、平和の創造に向けて地道に活動する市民団体・個人を表彰する制度で、やはり選考委員会の場で対象を選出しています。
運営に多くの支え
 公益財団法人である当基金の運営は、一般財団法人広島国際文化財団などからの寄付金、そして「平和サポーター」制度などを通じた幅広い市民から届く寄付金によって支えられています。
 そういう意味で当基金の7事業は、少し口幅ったい表現ですが、「平和な世界になってほしい」というヒロシマの訴えの一形態ともいえるのではないでしょうか。 「被爆という惨禍はもうあってはならない」という、市民の人たちの願いがその根幹にある気がします。
 一方、組織面でみると、評議員、理事、監事という役員、各選考委員会委員を、行政、平和関連団体、市民グループの多くの方々に引き受けていただいています。 こうした皆さんの協力があって基金の運営が可能となっています。
市民の平和への思い
 当基金の実務担当者となって
2年余り。 役員の皆さんをはじめ各事業に参加されたりピースグラントなどに応募されたりする方々との接触を通じ、確かな意志を感じます。
 一般の市民からの寄付を直接受ける機会にも、いろんな思いを併せて頂戴します。 「若い音楽家を応援したい。世界との友好を深めてくれると期待する」と年配の男性は話しました。 高齢化で解散を余儀なくされ親睦組織の残余金を持参した役員は「少額だが、平和のために役立ててほしい」と真剣な表情でした。
 フラワーフェスティバルでのパレード後、平和公園の慰霊碑前に展示されたおりづる
 みこし (2018年5月4日)
 金額の多寡にかかわらず、平和、そして争いや差別、貧困のない世界への思いがこもっていると感じます。 平和や国際理解の広がりへ向けた多くの皆さんの熱意を意識しながら日々を送っています。
(平成30年6月寄稿)
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