“平和について思う”
「ドイツ・ハノーバー市との青少年交流」
一般社団法人広島ハノーバー友好協会 会長 井内 康輝
プロフィール
〔いない こうき〕

1974年広島大学医学部卒業。 1990年から 2012年まで広島大学医学部教授。 この間、2002年から2006年まで医学部長。 専門は人体病理学。
1963年から広島国際青少年協会に入会、2011年から一般社団法人となった同協会の代表理事、2012年から一般社団法人広島ハノーバー友好協会会長を務める。

 ドイツ・ハノーバー市との青少年交流の始まりは、1968年(昭和43年)に遡ります。 この年、広島国際青少年協会総主事であった故(はやし)壽彦(としひこ)氏(2010年〔平成22年〕10月逝去)が、日独政府間の文化協定に基づく日本からの初めての訪独青少年代表団の監督としてハノーバー市を訪れたことがきっかけでした。 当時のハノーバー市長、ヘルベルト・シュメルスティーク氏から、国家間の交流よりも都市間の交流をもっと発展させるべきではないかという提唱があり、広島市とハノーバー市との間で青少年の交流が始まることになりました。
 1970年(昭和45年)、広島市から22人の青少年使節団がハノーバー市に初めて派遣され、1971年には25人が、1972年には32人の青少年使節団とともに当時の広島市長、山田(やまだ)節男(せつお)氏もハノーバー市を訪問しました。 1973年(昭和48年)からはハノーバー市から広島市への使節団の訪問も始まりました。 交流10周年となった1978年(昭和53年)には、ハノーバー市長から豆つげ樹木3,000本が贈られてきたことから、広島市は当時の広島市民球場横に沈床(ちんしょう)花壇(かだん)ハノーバー庭園を造園しました。
 こうした交流が15周年を迎えた1983年(昭和58年)、広島市とハノーバー市との間の姉妹都市縁組が決まり、5月27日にハノーバー市において荒木(あらき)(たけし)広島市長とシュメルスティーク市長との間で調印式が行われました。
 広島市では、1979年(昭和54年)2月に広島・ハノーバー協会が発足し、事務局は広島国際青少年協会内に置くことが定められました。 ハノーバー市では、1978年12月に友好会が発足し、事務局はハノーバー市青少年局に置かれていました。 これ以降、青少年の交流はこれら事務局が主体となって行うことになりました。
 2005年(平成17年)、当時の広島市長、秋葉(あきば)
広島市からハノーバー市への青少年使節団(1976年)
広島市とハノーバー市の姉妹都市縁組調印式(1983年)
忠利(ただとし)氏と林壽彦氏の発案で、青少年国際平和未来会議(IYCPF)が創設されました。 広島市とハノーバー市がそれぞれの姉妹都市によびかけて青少年が集い、青少年の手による平和活動を探る会議となりました。 この会議は広島市と他都市の交互開催の形をとり、現在まで広島市とハノーバー市が中心となって、とぎれることなく続いています。
 一時期停滞気味であった広島市とハノーバー市との青少年の相互訪問は、2011年(平成23年)2月にハノーバー市において、前年に逝去された林壽彦氏の追悼会が行なわれるにあたって、私が招待された際、青少年の交流を復活させることを約束しました。 任意団体としての広島・ハノーバー協会は活動が休眠状態でしたので、私は2011年4月に広島国際青少年協会が社団法人化されるにあたってその代表理事になり、あわせて一般社団法人広島ハノーバー友好協会を設立することとしました。 活動を青少年交流のみならず、文化交流及び経済界の交流へ拡げるために、理事として、上田(うえだ)宗冏(そうけい)氏(茶道上田宗箇(そうこ)流家元)、椋田(むくだ)昌夫(まさお)氏(広島電鉄株式会社代表取締役社長)、坪井(つぼい)(ひろし)氏(広島信用金庫会長)、渡辺(わたなべ)博之(ひろゆき)氏(故人・ドリームベッド株式会社社長)の各氏に加わっていただき、2012年(平成24年)12月の設立総会をへて活動を開始しました。
ハノーバー訪問団(2014年)
 2014年(平成26年)4月、再開したハノーバー訪問団は青少年の代表14人、和楽器奏者5人、広島電鉄社員4人、株式会社アンデルセン社員3人など計31人からなり、ハノーバー市では、市長表敬訪問、平和祈念施設エギディエン教会での追悼行事などに加え、青少年のホームステイ、市庁舎での邦楽演奏会、路面電車とバスを運営するユーストラ社訪問などを行いました。 2015年(平成27年)10月には、ハノーバーから12人が来広して広島市長への表敬訪問、原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)への参拝、広島ハノーバー友好協会との交流パーティーなどを行いました。 ハノーバー市への訪問は2016年(平成28年)にも22人で行い、今年、2018年は交流開始から50年目の節目に
あたり、4月には広島市からハノーバー市へ(青少年17人を含む34人)、8月にはハノーバー市から広島市へ(9人)の相互訪問が実現しました。 ハノーバー市の広島ハイン(林園)、広島市のハノーバー庭園で、ともに記念植樹を行い、交流の歴史の新たな1ページを加えています。
 今後とも、青少年を含めた各層の人々の人的往来が相互理解を生み、世界平和達成の一歩となることを信じてこの交流を大切に続けてゆきたいと思っています。
(平成30年9月寄稿)
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