“平和について思う”
ひろしま日本語教室と国際交流
ひろしま日本語教室 代表 光原(みつはら) 鈴江(すずえ)
ひろしま日本語教室
2016年2月 広島ユネスコ協会より「活動奨励賞」受賞
2019年2月 ヒロシマ平和創造基金より「国際交流奨励賞」受賞
2019年4月 広島市より「広島市政功労賞」受賞

 ひろしま日本語教室は、1987年11月に広島市で初めてのボランティア教室として、有志が集まり草の根の活動で立ち上げられました。 そして半年間の準備期間を経て、1988年4月から本格的に教室がスタートしました。 その後30年以上に渡り、広島在住外国人の日本語学習を支援するとともに、市民との交流の場や、外国人への情報提供や居場所づくりを目指してきました。
 発足当時、学習者は中国から帰国した残留邦人とその家族、日本人と結婚した配偶者、留学生とその家族、在日韓国人配偶者などで、毎週土曜日の午前中は広島商工会議所の一室を、夜はマツダのふれあい会館をお借りして教室を開いていました。 その後、中央公民館へ、そしてクリスタルプラザと広島平和文化センターへと会場を移しながら、アジア大会、ぺあせろべ(国際交流フェスティバル)をはじめとする様々な国際交流イベント、世界各国からの訪問団やユニタール広島(UNITAR:国連訓練調査研究所)への協力など、多くの活動をしてきました。
 教室での学習は、挨拶、ひらがなを覚えることから始め、日本語の文法や会話を学んでいきますが、それに加えて、日本の社会に適応できるように、買い物の仕方、ゴミの捨て方、病院や銀行での対応など、生活全般に渡る支援も必要でした。
 日本の経済成長とともに外国からの労働者や研修生なども増え、日本語教室の需要は高まりましたが、バブル崩壊やリーマンショックなどで経済が低迷すると、外国人労働者のリストラや帰国が相次ぎ、私たちの教室もその影響を大きく受けながら、今日まで活動を続けてきました。
 現在の学習者は、従来に加え、ビジネスマンとその家族、研修生、技能実習生、英語教師、短期滞在者(観光や文化活動等)など、来日された目的も様々です。 そして教室での活動も、日本語学習だけでなく、お花見やお祭りといった四季の行事や、広島城、縮景園、二葉の里など地域の散策、お好み焼きを自分で作る体験、日本文化体験(書道、折り紙、茶道、華道、着付け)など様々な活動に広がり、これらを通して交流を図っています。
 また、日常生活での安全を守るため、地震や災害から身を守るための防災訓練や、事故・事件に遭わないための安全教室を、消防署や警察の協力を得て行っています。
6月29日(土)、安佐北(あさきた)倉掛(くらかけ)の総合防災センターで体験学習。
地震時の対応や火災時の消火方法、煙の中を逃げる体験をして、大変役立ったと好評でした。
 来日当初全く日本語が話せず、不安そうな顔で教室に来られた方が、徐々に会話ができるようになった時の笑顔を見たり、「教室のおかげで、困ったときに助けてもらってとても(うれ)しかった。」という感謝の声を聞いたりすると、地道に活動を続けてきて本当に良かったと思います。 また、帰国された方とボランティアがメールやSNSでの交流を続け、再来日されたときに再会し、楽しいひと時を過ごすこともあります。
 一人の外国人には、母国に多くの家族、親せき、友人などがいます。 学習者が母国の人たちに日本での生活を語ることで、その人たちにも日本という国を理解してもらい、好きになってもらうことは、世界平和につながる小さな一歩になると考えています。
 2019年4月より、在留資格「特定技能」に係る制度が開始され、私たちの教室にも多くの技能実習生が参加されるようになりました。
 私たちの教室はボランティアの善意だけで成り立っており、会場の安定した確保、運営費やボランティアの確保が困難です。 また、学習支援を必要とする子どもたちの問題など、多くの問題を抱えています。 ボランティアの努力だけでは限界が来ていると思います。 今後は行政と協力しながら、日本人にとっても外国人にとっても、住みやすい町にしていかなければなりません。
 広島に来られる外国人は、今後ますます増えると思いますが、「国際平和都市広島」の名に恥じない、皆さんに喜んでいただける日本語教室を継続していきたいと思っています。
 これからも、多様に変化する国際情勢のなかで、私たちボランティアが「小さな町の外交官」として世界の人たちと交流を持ち続け、微力ながらも「世界平和」の一端を担うことができたらと願っています。
 今後とも、地域日本語ボランティア教室へのご理解とご協力を、よろしくお願い致します。
(令和元年7月寄稿)
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