和文機関紙「平和文化」No.205, 令和2年11月号

米国・ハワイで初のヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展の開催

―日米開戦の舞台となった真珠湾の戦艦ミズーリ記念館において―
 広く被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、広島市と長崎市は共同で、海外において「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」を開催しており、被爆から75年を迎えた今年度は、広島市の最初の姉妹都市である米国のハワイ州ホノルル市で初めて開催しています。 会場は、その艦上で日本が太平洋戦争の降伏文書に調印し、現在は真珠湾に係留されている戦艦ミズーリの記念館です。
 同館は、戦艦ミズーリのたどった歴史を後世に語り継ぐことを使命として1999年(平成11年)に開館し、第二次世界大戦から湾岸戦争までに従事した乗組員たちの記念の品々などを展示しています。 2015年(平成27年)からは「神風特別展示」として、南九州市の知覧(ちらん)特攻平和会館が所蔵する特攻隊員の遺書や手紙、遺品を展示しています。
司祭による展示会場でのブレッシング

司祭による展示会場でのブレッシングの様子
(戦艦ミズーリ保存協会提供)

 展示会は、全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初の予定より約1か月延期され、現地時間の8月13日(木)から開催されました。 同日のオープニングセレモニーでは、ハワイの司祭がブレッシングと呼ばれる儀式を行い、ハワイで神聖とされるマイリの葉をハワイ・広島・長崎をつなぐ象徴とし、平和を祈念しました。 広島平和記念資料館の滝川卓男(たきがわ たくお)館長は同セレモニーに、「被爆者の思いを受け止め、核兵器廃絶と世界恒久平和に向けて共に力を尽くしてくださるよう心から願っています」とメッセージを寄せました。
司祭による展示会場でのブレッシング

司祭による展示会場でのブレッシングの様子
(戦艦ミズーリ保存協会提供)

 展示内容は、動員学徒として作業中に被爆し犠牲となった女学生が被爆時に身に着けていたブラウスを始め、中身が黒焦げになった弁当箱の複製、ハワイ出身のオバマ前米国大統領の折り鶴など、実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル30点などです。 また、昨年6月に戦艦ミズーリ記念館が遺族から受領した佐々木禎子(ささき さだこ)さんの折り鶴が今回の展示会に合わせて展示されています。
 展示を見学した来場者は、「日米双方のストーリーを伝えることは誠に重要であり、真珠湾でこうした展示がされるのは素晴らしい取組です」と感想を述べていました。
 また、8月21日(金)には、戦艦ミズーリ記念館の職員及び同館のツアーガイドを対象に、広島平和文化センター委嘱被爆体験証言者の小倉桂子(おぐら けいこ)さんが英語によるオンライン証言を行いました。 参加者は熱心に耳を傾け、目に涙を浮かべて話を聴いている人もいました。 証言終了後には、参加者から「彼女の体験は非常に印象的で心を動かされました。今後忘れることはないでしょう」「証言を聴いた直後は言葉を失ってしまい、何の質問も思いつきませんでした」「彼女の体験は非常に劇的でかつ悲しいものでした。体験をお話くださったことに深く感謝しています」などの感想が寄せられました。
 戦艦ミズーリ記念館での「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」は、11月30日(月)まで開催する予定です。
(平和記念資料館 啓発課)
 
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