ウクライナやガザの厳しい情勢の最中に開催された今年の
国内加盟都市総会 では、G7広島サミットのレガ
シーを踏まえ、市民社会において平和文化を振興していく重要性が大きな
テーマとなった。
そして、戦争経験者・被爆者が高齢化する中、「今こそ、さらなる平和文化の振興に取り組むべき重要な時期を迎えてい
る。」ことが共有された。
今回、「平和に関する取組」についての現状・
ニーズ把握のため、全加盟自治体(1737)にアン
ケート調査を行い、715自治体(41%)から回答をいただいた。
回答のあった自治体の内、「平和文化に関する取組」の実施は83%、未実施は17%で、実施内容としては、追悼式典や展示など空襲・原爆等に根差すものに加え、さらに、次世代への継承を意識した、啓発イベント、平和学習、広島・長崎派遣などが行われている。
このように、各自治体は、将来のある「若い世代」を平和文化の担い手にすることを重視していることが分かる。
このうち「平和文化月間の設定」は、多彩な事業内容により若い世代への働きかけが可能となるので、導入について積極的に検討されることを期待する。
自治体が「平和文化に関する取組」の実施を検討する中で生じる課題・
ニーズを踏まえた平和首長会議の支援方策として、①広島・長崎での小中高生受入プログラムの段階的拡充、②被爆体験伝承者等・朗読ボランティアの派遣(全額国費)、③好事例の発信の充実、④イン
ターンシップ(2泊3日の集合研修)の段階的拡大、⑤全国職員が気軽に幅広く参加できるウェブ研修の新設、⑥総務省に対する地方財政措置要望(11月20日 鈴木総務大臣に手交)の6項目を掲げている。
このうち①では、1)厳粛な平和式典への参列、2)被爆者や地元中高生との交流・対話、3)実物資料に触れる
フィールド
ワークを通して、「被爆の実相」を学ぶ平和学習や
リーダー育成が可能である。
②では、「戦争体験講演会」、学校での平和学習、被爆地派遣・修学旅行の事前学習の講師などとして、公的認定を受けた伝承者等を、経費負担なく活用できる。
⑤のウェブ研修は、未実施自治体の職員も念頭に置いている。
各自治体には、是非これらの支援方策を活用しながら、主体的に取り組んでいただき、平和文化がさらに広く市民社会に根付いていくことを願っている。
平和文化に関する指定都市市長会の動き
G7広島サミットに先駆けて、G7各国の市長組織と共に指定都市市長会が発表した、「2023年U7市長宣言」では、「私たち都市は、…市民の平和の文化を育むために自治体が重要な役割を担っていると確信している。」と記されている。
また、指定都市市長会は、11月20日に、「平和文化の振興に関する申合せ」を行った。
そこでは、「『平和文化月間』を設定するなど、幅広い市民に平和文化を根付かせていくための多様・多彩な取組を着実に実施」することが指定都市の総意とされている。