“ヒロシマの心を発信する人々”
「ヒロシマ」を朗読によって伝えたい
〜 ひろしま音読の会代表 森岡三恵さんインタビュー 〜
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本財団では、国内外の人々に原爆被害の実相を伝え、核兵器廃絶の世論を高めるために様々な取組みを行っていますが、広島には草の根レベルで「ヒロシマの心」を発信している人々がたくさん活躍しておられます。
今回は、2006年に広島国際文化財団の第8回国際交流賞を受賞し、現在も地道に活動を続けておられる「ひろしま音読の会」をご紹介します。
代表の森岡三恵さんにインタビューしました。
会の名前の由来は何ですか?
私は結成当時のメンバーではないのですが、「朗読」ではなく「音読」とした理由は、言葉を声に出して丁寧に伝えるということはもちろんですが、
それに加えて、日本語の美しい響きを伝えたい、という思いが込められています。
そして、「ヒロシマ」を声に出して継承したい、ということから、「ひろしま音読の会」と名付けました。
結成のきっかけは何だったのですか?
この会は、朗読すること、言葉を声に出して伝えることの好きな人たちの集まりで、趣味の会として2000年に結成され、現在まで地道に活動を続けて来ました。
どのような方たちで構成されているのですか?
おもに現役あるいは既に現役を退いたアナウンサーなどで構成されています。
女性が多いのですが、現在は男性3名を含む20名の会員で活動しています。
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「ヒロシマを朗読する―しまってはいけない記憶―」で朗読する音読の会
メンバーと広島女学院高等学校の生徒たち
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どのような活動をされているのですか?
年に2回、大きな発表会として、春の発表会と、夏の発表会「ヒロシマを朗読する」は、結成から10年、毎年かかさず行ってきました。
また、中央図書館主催の「子ども読書まつり」などで朗読したり、平和をテーマにしたコンサートにも出演してきました。
普段の練習は月に2、3回のペースで行っていますが、発表会の前には週2回のペースで読み込みを行っています。
これからの活動についての思いなどをお聞かせ下さい。
これからも年に2回の大きな発表会は毎年続けてゆきたいと考えています。
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また、会員は現在、全員が国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の朗読ボランティアに登録しており、みんな朗読を通して被爆体験を語り伝えてゆきたいという思いを持っています。
会員のほとんどは戦後生まれですが、幼い頃に原爆を体験した者も、被爆二世も、数名おります。
これからは原爆を体験していない人達が被爆体験を語り伝えてゆく時代になるでしょう。
悲惨な被爆体験を声に出して読んでいるうちに、つい自分の感情やイメージを言葉にのせてしまいがちですが、本当に伝えるべきは被爆者の方々の思いと言葉だと思います。
微妙なニュアンスまで含めて聞き手に伝わるように、そしてそこから聞き手が個々に想像力を膨らませ、自由に考えていただけるように、しっかりと読み込んで、正しい日本語で伝えてゆきたいと思います。
若い人たちへの被爆体験の継承には、こういった活動をこつこつと積み上げてゆくことが大切なのではないかと考えています。
ありがとうございました。
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(平成22年9月16日取材/総 務 課)
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