未来がやってきた
本財団理事長 スティーブン・リーパー
プロフィール
〔スティーブン・リーパー〕

1947年米国生まれ。米国・ウェストジョージア大学大学院(臨床心理学修士課程)修了。 広島YMCA講師、(有)トランズネット取締役、(株)モルテン海外渉外アドバイザー、 平和市長会議米国代表、本財団専門員などを歴任し、2007年4月に理事長に就任。

核兵器廃絶プロジェクトProject NOW! のアートブック、アートイベント、 パルコの向かいのビル。 広島全体をキャンパスとする新しい「大学」、ひろしまジン大学。 2012年9月21日にPeace Day Live開催。 MasterPeaceが2014年9月21日にカイロでグローバルコンサートを開催。 The Shift Networkによる平和のための国際ネットミーティング。 国を超えて連携する地域平和活動団体Pathways to Peace。 核兵器廃絶と原発の廃絶を目指す国際的な平和活動団体Footprints for Peace地球村地球憲章。 環境保全のために世界中の人々の投票を募るWorld Referendum。 人民の、人民による、人民のための政府を目指す世界連邦主義のウェブサイト。 アラブの春。 オキュパイ(占拠(せんきょ))運動。
  世界中で様々な動きが目まぐるしく展開しています。 若者達が自分達の未来を自分達の手でつかもうとしています。 彼らはもう「大人達」(政府や企業)が未来を決めてくれるのを待ってなどいません。 自分達のために、よりよい未来を創り出そうとしています。 ある者は抗議活動、ストライキ、デモ、リコール選挙、座り込み、テント村の設営、非協力や市民的不服従といった政治的活動を行い、 またある者は、敢えて政治的活動を避け、芸術、音楽、祈り、旅、直接人々と話し合うことを通して、大きな平和のうねりを生み出し、世界を変えようとしています。 いずれにせよ、若者達は目覚め、あたりを見回し、こう言っています。「手遅れになる前に何とかしなきゃ」
  手段やメッセージは様々ですが、そこには共通のテーマが浮上してきつつあります。
@ この惑星も人間社会も、わずか1%の支配層の幸せのために創られたわけではない。 全ての人々が資源や制度の恩恵にあずかるべきだ。残り99%の人々もまた、幸せであるべきだ。 現在の経済システムを変えなければならない。
A 私達は争いたくない。暴力を望まない。人類は家族だ。互いに知り合い、共有し、皆で平和に暮らしたい。 私達は軍国主義的政治体制を変えなければならない。
B 私達は、自分達を支えてくれる環境を破壊したくない。 自然に畏敬の念を持って生きて行きたいし、そのためなら進んでシンプルな生活を送り、エネルギーや資源の消費を抑える。 私達はライフスタイルを変えなければならない。
C 私達はこの世界が好きだ。自然が好きだ。音楽や芸術や表現することや成長すること、そして自分自身が好きだ。私たちはお互いが好きだ。 私達は誰とも争ったり口論したりしたくないし、互いに争わせようとするあらゆる試みに抵抗する。

広島平和文化センターの理事長である私の物の見方は、「平和」に対してずいぶん甘いかもしれませんが、 何百もの学校で何千もの若者達と接してきた経験から、 今日の40歳以下の若者達が、これまで地球上に存在した全人類の中で最も平和的で、非暴力的で、愛に満ちた世代であると思わずにはいられません。 彼らは明らかに、私の若い頃よりも遥かに先に進んでいます。 問題は、「大人達」が道を譲って彼らに世界を救わせるか、それとも「大人達」のやり方を通して彼らを潰してしまうか、です。
  この問題の答えはおそらく今後5年から10年の間に出るでしょう。 だからこそ、平和市長会議は核兵器廃絶のための緊急行動(2020ビジョン)を推進しているのです。 最近、何人かの人達にこう尋ねられました。「平和市長会議は今どうなっていますか? 最近あまり話題に上りませんね」
  最近、平和市長会議があまり話題に上らなかったのは事実かもしれませんが、それは私達がただ座り込んで未来を待っていたからではありません。 私達を助け、鼓舞してくれる若者達と同様に、私達もまた、未来を創り出すのに精一杯取り組んでいます。

最近話題に上らなかったのは、最初の段階は水面下の作業にならざるを得ないからです。 平和市長会議は今、重大で根本的な変化を遂げようとしています。 加盟都市数5000という目標を達成したので、より大きな組織作りから、より強固な組織作りへと、重要な「転換」の準備を進めているところです。 加盟都市を増やす努力は続きますが、今後は、 迅速に同時に多言語で世界的に展開するキャンペーンを遂行できる、財政基盤のしっかりした強力な組織を作ることに、これまで以上のエネルギーを費やすことになります。
  昨年11月にスペインのグラノラーズで開かれた第8回平和市長会議理事会が素晴らしい転機となりました。 この「転換」が承認され、公式に始動したのです。 理事会は初めてアフリカと南米からの参加者を迎え、「第三世界」のエネルギーが全ての議論に大きな影響を及ぼしました。 その画期的な会議で私達は、世界規模の原爆展キャンペーンによって加盟都市5000の節目を祝うことに決めました。 現在、5月にウィーンで世界公開する新しい原爆展ポスター一式を準備中です。 これらポスターを今年の平和週間(8月3日〜10日)に出来るだけ多くの加盟都市で展示する計画です。
第8回平和市長会議理事会の参加者
  もちろん、展示されるなら平和週間でなくても構いません。 9月21日の国際平和デー、10月24日の国連デー、10月24日〜31日の軍縮週間の展示は特に大歓迎です。
  この計画は、単に出来るだけ多くの原爆展を開催する試みではありません。 平和市長会議に世界規模のキャンペーンを盛り上げ、まとめて行く能力があるかどうかを判断する試金石(しきんせき)となり、 またその力を付けるための試練でもあるのです。 この初めての、本格的な世界規模のプロジェクトから、私たちは非常に多くのことを学べることを期待しています。
  理事会では、核兵器禁止条約に関する交渉の即時開始を求める署名活動の拡大も決定されました。 この署名活動は、日本では2010年にすでに始まっていますが、それを世界に拡大し、インターネットで急速に広めることが全会一致で決定されました。 そのため私達は、ネットで数日間で数十万人の署名を集めることのできる若きサポーター達の手助けを必要としています。

しかし何はさておき、平和市長会議の運営のため、そしてキャンペーンのため、理事会では次のことが必要であるという合意がなされました。 @加盟国の地域組織を設立し、 Aこれらの地域組織ごとの運営のため、指導的立場の都市を任命し、権限を与えて、その役割と責任範囲を明確にし、 Bもっと多くの都市がキャンペーン資金の調達に関わることのできる方法を模索すること。
  この合意が、慎重な検討を要する抜本的な運営上の変化につながることは容易に推察できます。 そこでさらに私達は、ドイツのハノーバーで実務担当者による検討委員会を開き、運営基盤やキャンペーン体制の見直しを行うという画期的な合意にも到りました。
  1月、9都市の実務担当者が、我々がハノーバープロセスと呼ぶ最初の会合に出席しました。 3日間かけて、アイデアを出し合い、選り抜き、考え得る文化的・組織的問題について検討を重ねました。 そして最後には参加者全員が、「転換」はまだ始まったばかりだが、出だしは上々だと感じていました。 現在のところ、幾つかの具体案がハノーバープロセスに参加した9つの都市の間で審議されています。 このプロセスの会議は電子メールやスカイプを使って続けられており、全員一致の合意案を、5月にウィーンで開かれるNPT再検討会議準備委員会に出席する平和市長会議理事都市の代表団に提案することを目指しています。
  ハノーバープロセスは、運営に関する一連の提言を練り上げ、2013年に広島で開催される平和市長会議総会で正式に履行(りこう)承認を得ることを最終目標としています。 その総会でもまた、平和市長会議に少なからぬ変化が起こることになると思います。 世界中の加盟都市の市長に加え、政府関係者やリーダー各のNGOの代表も会議に招へいしようというのです。 つまり、2013年の総会を実質的な世界軍縮会議とし、一丸となって世界規模のキャンペーンを展開するための共通の戦略・戦術を確立しようというのです。 そのキャンペーンは、2015年に広島で政府首脳の参加を得て開催されるサミットで頂点を極め、核兵器禁止条約へのプロセスに着手し、2020年までに核兵器廃絶を実現します。
  この計画を成功させるために、皆さんの手助けを必要としています。

平和市長会議のウェブサイト
@ お住まいの地域の首長の方に、2013年に広島で開かれる平和市長会議総会に参加するよう頼んで下さい。 平和市長会議に加盟していなくても参加できます。が、加盟もしていただけるのではないでしょうか。
A お住まいの地域の役所に、2012年に原爆展を開催するよう頼んで下さい。 展示資料及び詳細については平和市長会議:mayorcon@pcf.city.hiroshima.jpまでお問い合わせください。
B 平和市長会議2020ビジョンキャンペーン のウェブサイトにアクセスして署名活動に参加し、署名用紙をあなたの家族、友人、知人、そしてケンカ相手の皆さんに転送して下さい。
C 世界を救う活動に参加して下さい。 平和市長会議のウェブサイトは、世界から核の脅威を取り除こうとしている私達をあなたがサポートするために利用していただくことができます。 が、今あなたが住んでいる地域にも何百という素晴らしいグループが目覚ましい活動をしているはずです。 そんな活動を検索してみて、気に入ったものを選び、参加して下さい。
「大人達」は、本気で私たちを潰したいわけではありません。 ただ彼らは、支配欲に駆られ、戦争文化に染まった過去の遺物で、 見識ある平和文化の指導をどうしようもなく必要としている人たちなのです。 彼らの時代遅れの戦争文化の習性が私たちを崖っぷちから追い落としてしまう前に、何とか彼らにこのメッセージを届ける方法を見つけ出して下さい。お願いします。
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