和文機関紙「平和文化」No.190, 平成27年11月号

高校生による「原爆の絵」が完成

―被爆体験を絵に描く―
 本財団は、広島市立基町(もとまち)高等学校普通科創造表現コースの協力を得て、平成19年度から、本財団被爆体験証言者とボランティアの生徒が共同し、証言者の記憶に残る被爆時の光景を描く「原爆の絵」の制作に取り組んでいます。
 このたび、平成26年度から6人の証言者と7人の生徒が6グループに分かれて制作を進め、完成した7点の絵画が本財団に寄贈されました。
 7月3日(金)に基町高等学校展示ギャラリーで行われた完成披露会には、証言者の笠岡貞江(かさおか さだえ)さん、國重昌弘(くにしげ まさひろ)さん、國分良德(くにわけ よしのり)さん、兒玉光雄(こだま みつお)さん、白石多美子(しらいし たみこ)さん、長尾(ながお)ナツミさんと、絵を制作した7人の生徒を始めとする創造表現コースの生徒のほか、本財団及び基町高等学校の関係者が出席しました。
 制作した生徒からは、「今回の経験から、原爆が投下された事実を改めて身近に感じた」「制作した作品が、戦争や原爆の愚かさ、非道さを伝えることができたら良いと思う。自分のできることで、原爆を伝えていくことが大切なことだと思う」「目をそらしたくても、それが現実であったことを知ってほしい」などの感想が寄せられました。
 被爆後の広島の惨状を絵画で残す「原爆の絵」は、被爆体験をより深く理解してもらうため、証言者が被爆体験講話で活用するなど、原爆被害の実相を後世に継承するために役立てていきます。
「本当に、おとうさん?」(小川美波、笠岡貞江)

題名:「本当に、おとうさん?」
制作者:小川美波(おがわ みなみ)(基町高等学校普通科創造表現コース2年)、笠岡貞江(被爆体験証言者)

「重症者を運ぶトラック」(宇都宮未来、國重昌弘)

題名:「重症者を運ぶトラック」
制作者:宇都宮未来(うつのみや みき)(基町高等学校普通科創造表現コース3年)、國重昌弘(被爆体験証言者)

「爆風で下敷きになり焼かれた軍人の骸骨(広島第一陸軍病院第一分院内)」(竹本茜、國分良德)

題名:「爆風で下敷きになり焼かれた軍人の骸骨(広島第一陸軍病院第一分院内)」
制作者:竹本茜(たけもと あかね)(基町高等学校普通科創造表現コース3年)、國分良德(被爆体験証言者)

「被爆して避難した河原での出来事」(栩田優希、國分良德)

題名:「被爆して避難した河原での出来事」
制作者:栩田優希(とちだ ゆき)(基町高等学校普通科創造表現コース3年)、國分良德(被爆体験証言者)

「人間襤褸の群れの中に」(津村果奈、兒玉光雄)

題名:「人間襤褸(らんる)の群れの中に」
制作者:津村果奈(つむら かな)(基町高等学校普通科創造表現コース2年)、兒玉光雄(被爆体験証言者)

「お母さん待って!」(山﨑菜結、白石多美子)

題名:「お母さん待って!」
制作者:山﨑菜結(やまさき なゆ)(基町高等学校普通科創造表現コース3年)、白石多美子(被爆体験証言者)

「後に生きる人たちへ」(一ノ間照美、長尾ナツミ)

題名:「後に生きる人たちへ」
制作者:一ノ間照美(いちのま てるみ)(基町高等学校普通科創造表現コース3年)、長尾ナツミ(被爆体験証言者)

(平和記念資料館 啓発課)

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