ノーベル平和賞授賞式への出席
 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞授賞式への出席等を目的として、昨年12月8日から12日までの5日間の日程で、松井(まつい)一實(かずみ)広島市長(平和首長会議会長)が、ノルウェー・オスロ市を訪問しました。

ノーベル平和賞授賞式
 授賞式は12月10日、松井市長や田上(たうえ)富久(とみひさ)長崎市長を含め、招待された約1,000人が参列し、厳粛に執り行われました。 各国から集まったICANの主要メンバーや、被爆者、核兵器禁止条約の推進国の政府代表たちが見守る中で、ICANのベアトリス・フィン事務局長は、核兵器を世の中に定着したものとして受け入れていることは異常とし、今まで核戦争が回避できたのは単に運が良かったからに過ぎないと指摘しました。 その上で「核兵器は私たちを決して安全にはしない」と核抑止に頼る安全保障を否定し、人類の終わりではなく核兵器の終わりを選択することは理性的な選択であるとし、全ての国が核
兵器禁止条約に参加すべきだと訴えました。
 また、広島で被爆したサーロー節子(せつこ)氏は、自身の被爆体験を語り、「核兵器は必要悪ではなく絶対悪であり、核兵器禁止条約を核兵器の終わりの始まりにしよう」と力強く呼び掛けました。 途中、何度も大きな拍手が沸き起こり、終了後は会場の全員が立ち上がって受賞者に敬意を表していました。
 今回の授賞式は、核兵器のない世界の実現が平和な世界の実現に欠かせないものであるということを世界の人々に訴え、それに向けて協働を呼び掛ける絶好の機会となりました。

各国政府関係者との面会
被爆者のサーロー節子氏(右から2人目)等と共に
 授賞式の前後に、松井市長は、核兵器禁止条約交渉会議の議長国を務めたコスタリカのゴンザレス外務大臣及びホワイト大使を始め、交渉会議での議論をリードしたメキシコのビデガライ外務大臣及び2人の大使、オーストリア、アイルランドといった条約推進国の大使等とお会いし、意見交換の場を持ちました。 松井市長からは、核保有国と非保有国の為政者が、対立の立場ではなく、平和な未来の追求という同じ目標に向けて今何をすべきなのか考え、対話することが大事であり、平和首長会議としては、そうした為政者のリーダーシップを促すような市民社会の機運醸成を図って、環境づくりをしていきたいと伝え、その推進力拡大のために、各国内における加盟都市拡大に対する協力を依頼しました。 お会いした方々からは、国家を超えて市民社会が取り組んでいく意義について力強い賛同をいただきました。

その他の行事への出席
 12月9日(土)、オスロ大学植物園において、20人余りの広島・長崎の被爆者たちが見守る中、ヨハンセン オスロ市事務総長、ストールン オスロ大学長、松井市長及び田上長崎市長が、広島で被爆したナツメ、エノキ、クロガネモチ及びイチョウから採取した種を鉢に植えました。 松井市長は、種が平和の象徴としてオスロの地に根付き、その成長とともに核兵器廃絶に向けた機運が高まり、平和への思いが広く、長く共有されることを願うと伝えました。
 また、松井市長はノーベル平和センターにおいて、平和賞に関する展示を見学しました。 ここには、ICANのノーベル平和賞受賞に関するものとして、広島・長崎で原爆の犠牲になられた方々の遺品が1年間展示されることになっています。 これらの遺品は核兵器の非人道性を静かに、しかし強いメッセージ性を持って訴えるもので、展示会場に多くの人が訪れ、核兵器廃絶の必要性を確信して平和首長会議と協働する人が増えるきっかけになることが期待されています。

出張を通じて
 今回の出張で、核兵器のない世界の実現に向けて、市民社会の果たす役割の大きさ、また市民社会が世界を動かしていく可能性を改めて実感しました。
 核兵器廃絶は一朝一夕に成し遂げられるものではなく、核軍縮についても進展が期待しにくい現下の状況はありますが、今回、非核保有国の有志と市民社会が協力して、核兵器を明確に違法化する核兵器禁止条約の採択に貢献した国際的な運動にノーベル平和賞が贈られた意義は大きく、更に取組を進めていこうという勇気と活力を得られた方は多いと感じました。 授賞式に出席した方のみならず、それを報道等で見てICANの受賞を祝うパレードに集まった多くの人々は、同じ志を持つ同志として連帯意識を強め、核保有国とその核の傘の下にある国に届くよう、市民社会の声を更に大きくしていく契機となりました。
 引き続き、核保有国等の為政者が核抑止という幻想から脱却する後押しをする環境づくりを進めるため、被爆の実相と核兵器の非人道性をより多くの人に広めるとともに、平和首長会議の加盟都市数を増やし、国際世論の醸成における影響力を高めていきたいと考えています。

(平和連帯推進課)

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