第22回展示検討会議の開催
 平和記念資料館では現在、本館展示の更新を進めています。 展示内容については、原爆被害、核や平和問題などの有識者で構成する展示検討会議の委員から、展示構成、展示手法などについて指導・助言を受けながら検討を行っています。
 平成29年11月7日に第22回展示検討会議を開催しました。 前回の検討会議で意見のあった原爆の絵の実証性や展示方法をふまえ、「8月6日のヒロシマ」と「被爆者」のゾーンについて次のような内容を示し、意見を交わしました。
【8月6日のヒロシマ】
 東館から渡り廊下を進んだ本館最初の展示は、原爆の絵から人の被害を撮影した写真に変更し、本館のテーマである「人」、特に“個人”を来館者に感じてもらう展示とします。 続いて原爆のさく裂の瞬間を描いた絵を展示します。 来館者に「ピカッ」と光った瞬間を実感してもらい、原爆の絵がイメージではなく、被爆者の実体験に基づいて描かれた絵と分かるように、作者の言葉も合わせて展示します。
 人の被害の集合展示では、原爆の絵と写真を集合し、傷つく人々、変わり果てた姿という2つのテーマで構成することを考えています。 原爆の絵では、炎に包まれ傷つき逃げ惑う様子や建物の下敷きとなり炎に包まれる人たちなど、写真には撮影されていない情景を伝えます。 写真では、火傷を負った人、負傷した人、一人一人の被害を撮影した写真を展示します。 原爆の絵で表現された色や情景と写真に写された被害の様子が補完し合い、当日の惨状を伝えます。 原爆の絵には作者の言葉も添えます。
【被爆者】
 今回の会議では新たに「被爆者」のゾーンの最後の展示イメージを示しました。 進行方向の右側の壁面に、発掘された遺骨の写真を大きく展示し、来館者に改めて亡くなった人たちを意識してもらいながら、左側の壁面で被爆者やその家族の一人一人の想いを伝える写真を展示します。 悲しみ、痛み、不安など、歳月を経ても消えない想いを伝えます。 コーナーの最後の壁面には、被爆した母親と被爆後に生まれた子どもの写真を展示。 新しい命が誕生したという希望と喜びの中にも、無事に育つだろうかという不安な気持ちを持っていることを伝えます。
 来館者は被爆者や家族の想いを抱えたまま東館へ向かいます。

 今回の会議では、原爆の絵の展示方法について、現物資料や写真と合わせ当日の情景を伝える効果的な展示となっている、と委員から承認を受けましたが、本館の初めの写真や最後のコーナーの写真については、もう少し再検討しても良いのではないかという意見もあり、そうした意見をふまえ展示内容を固めていきます。

(平和記念資料館 学芸課)

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