和文機関紙「平和文化」No.209, 令和4年8月号

「国連見学ツアーガイドのヒロシマ研修」をオンラインで実施

 広島市は、長崎市と共同で、ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーンの国連施設において原爆展を常設しています。 原爆展を通して、より効果的に被爆の実相を伝えるためには、案内役のガイドやガイドツアー担当職員に被爆の実相を共有してもらうことが不可欠です。 このため、各施設の見学ツアーガイドを広島に招へいし、被爆の実相について学んでもらう「国連見学ツアーガイドのヒロシマ研修」を平成29年度(2017年度)から実施しています。
 5回目となる令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度に引き続き招へいを見合わせ、研修プログラムの一部をオンラインで実施しました。
 研修初日の11月30日には、広島平和記念資料館がバーチャルツアーを実施。 館内の主な展示の解説に加え、平和記念公園からライブ中継を行い、原爆死没者慰霊碑や原爆ドームについて説明しました。
 続く12月1日・2日には、本財団の被爆体験証言者である河野キヨ美(こうの きよみ)さん、李鍾根(い じょんぐん)さんに被爆体験講話を行っていただきました。
被爆体験を語る河野キヨ美さん
国連職員にオンラインで被爆体験を語る河野キヨ美さん
 最終日の12月3日には、広島市立大学広島平和研究所のロバート・ジェイコブズ教授に、核実験等による放射線被曝に苦しむ「グローバル・ヒバクシャ」の現状について講義をしていただきました。
 研修を受講した国連職員は、述べ93人。 参加者からは、「私たちの世代にとって戦争の記憶は遠いものとなりつつあるが、広島で起こったことを二度と繰り返してはならないという思いを強くした」、「被爆者の方からのメッセージを原動力として、今後も核兵器の問題に取り組みたい」という声が寄せられました。
 コロナ禍により、広島での現地研修は2年連続で見送ることとなりましたが、世界各地の国連職員とオンラインでつながり、核兵器の問題について改めて考えてもらう機会を提供することができました。 研修を受講した国連職員を通じて、国連施設を訪れる多くの人々にヒロシマのメッセージが伝えられることが期待されます。
(平和記念資料館 啓発課)
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