和文機関紙「平和文化」No.211, 令和5年3月号

第10回平和首長会議総会を開催

 平和首長会議は、昨年10月19日(水)、20日(木)の2日間、「核兵器のない平和な未来を創造するために ~市民社会に『平和文化』を根付かせよう~」を基調テーマとして、第10回となる総会を広島市で開催しました。
 
開会行事
松井会長による開会挨拶
松井会長による開会挨拶
 平和首長会議設立からの40年の歩みを振り返る記念動画を上映した後、松井一實(まつい かずみ)会長(広島市長)は、開会挨拶において、核兵器のない平和な世界の実現に向けて為政者の政策転換を促すため、「平和文化」を市民社会に根付かせることに一層注力するとともに、G7広島サミットを追い風にしたいと述べました。
 また、アントニオ・グテーレス国連事務総長はビデオメッセージで、核兵器使用のリスクが高まっているが諦めてはならないと呼び掛けました。
 
被爆体験講話
 14歳で被爆した梶本淑子(かじもと よしこ)さんは、一人でも多くの人に被爆の実相を伝えることが生き残った私の務めだと語り、平和を求める多くの人の力と亡くなった人の魂によって必ず核兵器は廃絶できると確信していると訴えました。
 
広島の子どもたち 平和創作劇 I PRAY
 広島の子どもたちが、原爆が投下される前の広島、原爆が投下された時の広島、復興後の広島を演じ、平和の尊さを訴えました
 
会議Ⅰ
 松井会長が議長を務め、「平和首長会議サポーター制度」の創設などの議案を審議し、原案どおり議決されました。
 「平和首長会議サポーター制度」は、SNSを使って若い世代に重点的にアプローチし、平和首長会議の理念や取組に賛同する個人や団体(サポーター)を増やすことにより、為政者の政策転換を促す市民社会の総意形成に向けた環境づくりを行うものです。
 
会議Ⅱ
 本財団のトーマス・ハイノツィ専門委員がモデレーターを務め、「加盟都市の役割」をテーマに、スペイン・グラノラーズ市のアルバ・バルヌセル市長、カナダ・モントリオール市のアリア・アッサン・クルノル市議会議員、ドイツ・ハノーバー市のベリット・オーナイ市長、東京都国くに立たち市の永見理夫(ながみ かずお)市長が活動事例を発表し、核兵器のない平和な未来を創造するために都市が貢献できることについて考えました。
 
記念講演
チョウドリー元国連事務次長による記念講演
チョウドリー元国連事務次長による記念講演
 「平和の文化」の提唱者であるアンワルル・チョウドリー元国連事務次長が、「より良い世界の創造に向けた地域社会に根差した『平和の文化』の振興」と題して講演し、平和とは差別や偏見などがないことであり、都市こそが人類の未来と持続可能な発展に貢献できるとし、人類のため、持続可能な地球のため、住みよい世界のため、「平和の文化」を振興しましょうと呼び掛けました。
 
パネルディスカッション
 小泉崇(こいずみ たかし)事務総長(本財団前理事長)がモデレーターを務め、「平和文化をより強く地域に根付かせるために」をテーマに、チョウドリー元国連事務次長、松井会長、田上富久(たうえ とみひさ)副会長(長崎市長)がパネルディスカッションを行いました。
 松井会長は、自集団の外にも共感能力を発揮することで、他集団とも友好関係を保てると述べました。 また、田上副会長は、考え方をOSに、自分たちで平和をつくることをアプリに例え、古いOSを書き換えてアプリが動作するようにしていかなければならないと述べました。 そして、チョウドリー元国連事務次長は、国連からジェンダー平等に取り組み、女性の国連事務総長が選ばれるようにならなければならないと述べました。
パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子
会議Ⅲ
 まず、来賓の武井俊輔(たけい しゅんすけ)外務副大臣が挨拶し、核軍縮の機運を高めるため、平和首長会議との連携を深めていきたいと述べました。
 そして、被爆体験伝承者の名原志穂(なばら しほ)さんがモデレーターを務め、「被爆者の思いを受け継ぐ青少年の役割」をテーマに、ユースピースボランティアの末永琳子(すえなが りこ)さん、KNOW NUKES TOKYOの中村涼香(なかむら すずか)共同代表、ポルトガル・エヴォラ市のアルシャンドル・ヴァレラ副市長が事例を発表し、次代の平和活動を担う青少年の育成について考えました。
事例発表の様子
事例発表の様子
会議Ⅳ(第10回平和首長会議国内加盟都市会議総会)
 松井会長が議長を務め、来年度の国内加盟都市会議総会の開催地市長である清元秀泰(きよもと ひでやす)兵庫県姫路(ひめじ)市長の挨拶の後、日本政府に対して核兵器廃絶に向けた取組の推進を求める要請文などについて審議し、原案どおり採択されました。
 
閉会行事
 平和首長会議が若者の育成などを通じて「平和文化」を市民社会に深く根付かせることに一層注力していくことや、核兵器使用のリスクを低減させるために国連・各国政府に求める六つの方策などを盛り込んだ、「ヒロシマアピール ~平和首長会議設立40周年を記念して~」を松井会長が読み上げ、原案どおり採択されました。
ヒロシマアピールの採択
ヒロシマアピールの採択
 最後に、田上副会長が挨拶し、PXビジョンの方向性を共有しながら、核兵器のない平和な世界の実現に向けて共に進み、2025年に長崎市での開催となる次の総会で良い報告ができることを願っていると述べ、この度の総会は閉会しました。
 なお、ヒロシマアピールは、昨年11月上旬に国連事務総長や各国政府の国連代表部に送付しました。 詳しくは平和首長会議ホームページでご覧いただけます。
(平和首長会議運営課)
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