和文機関紙「平和文化」No.211, 令和5年3月号

国際賢人会議の委員に向けた被爆体験証言を終えて

~本財団被爆体験証言者 八幡照子さんにお話を伺いました~
八幡照子さん
八幡照子(やはた てるこ)さん
 私は2013年、国際NGOピースボートが催す「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加しました。 船内や寄港地で、この時は日本語で被爆体験を話したのですが、原爆のとてつもない破壊力や、五感に甦(よみがえ)る凄惨な現場、悲しみを、直接、自分の声や言葉で伝えたいと強く思いました。 また、サーロー節子さんの被爆体験証言を聴き、英語での証言は世界の多くの人に通じると、英語を学ぶ決意をしました。 広島平和記念資料館からYMCAに学ぶ機会をいただき、日本語の原稿を翻訳していただいたものに辞書を見ながら発音記号を入れ、先生の吹き込んで下さったテープを聴いてイントネーションを学びました。 その後、カルチャースクールに通い、20分の英語の被爆体験証言を丸暗記し、先生やクラスメートの応援をいただいて磨いてきました。
 そして昨年12月10日、広島で開かれた国際賢人会議の委員に向け、証言を行なうこととなりました。 諸先輩もいらっしゃる中でいただいた重責に、身の引き締まる思いで臨みました。 皆さまには、「母国語の英語で初めて被爆体験を聴き、心揺さぶられた」「心に沁(し)みました」と言っていただきました。
 グテーレス国連事務総長は昨年広島で、“核兵器保有国が核戦争の可能性を認めることは、断じて許容できない”と言いました。 ウクライナ危機を巡り、核兵器がもたらす危険についても、一人ひとりが声を上げ、世界を変えていかなければならないと思います。 巨大なリスクが内在している核兵器に依存しない選択を、政治指導者の意志と専門家の分析力を組み合わせて、時代の流れを見つめながら、若い人達の未来やその子孫のために、国内外に発信していただきたいと思います。
 若い人達には、「地球と人類の安全保障」について当事者となって感じる心と感性を期待しています。
(総 務 課)
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