和文機関紙「平和文化」No.211, 令和5年3月号

ポーランドにおけるヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展の開催

~第二次世界大戦勃発の地ポーランド・グダンスク市において~
 広く被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、広島市と長崎市は共同で、平成7年(1995年)から海外において「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」を開催しており、今年度はポーランドで初めて開催しました。 会場は、グダンスク市にあるグダンスク第二次世界大戦博物館です。
 同館は、第二次世界大戦勃発の地として知られるグダンスク市に2017年3月に開館し、常設展示は「戦争への道」、「戦争の恐怖」、「戦争の長い影」と題する三つのブロックから構成されており、ヨーロッパと世界を背景にしたポーランドの戦争体験を展示しています。
 展示会は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初の予定より約2か月延期され、現地時間の2022年10月14日から開催されました。 同日行われた開会式では、グダンスク第二次世界大戦博物館のグジェゴシュ・ベレント館長、在ポーランド日本大使館の宮島昭夫(みやじま あきお)特命全権大使、広島平和記念資料館の滝川卓男(たきがわ たくお)館長らが挨拶を行いました。 その後、被爆体験証言者の梶本淑子(かじもと よしこ)さんが地図や絵などで構成されたスライド資料を使用して証言を行った録画を会場で流しました。 出席者は証言に聴き入り、中には目に涙を浮かべている人もいました。
 展示内容は、動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生が原爆投下時身に着けていた腕章を始め、中身が黒焦げになった弁当箱の複製、オバマ元米国大統領の折り鶴など、実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル31点などです。
展示会場の様子
展示会場の様子
 展示内容は、動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生が原爆投下時身に着けていた腕章を始め、中身が黒焦げになった弁当箱の複製、オバマ元米国大統領の折り鶴など、実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル31点などです。
 展示を見学した来場者は、「核兵器の脅威を実感することができた」「ロシアによる核兵器使用の懸念がある中、自分事として考えるきっかけとなった」などの感想を述べていました。
 また、グダンスク第二次世界大戦博物館での開会式に先立ち、10月11日から13日まで同館で開催された世界各国の博物館関係者が集う「世界戦場博物館フォーラム2022」に滝川館長が出席し、被爆体験の継承や原爆・平和展等の当館の取組について発表しました。 発表後、各国の複数の博物館関係者から原爆・平和展を開催したいとの声が寄せられました。
 展示会は、当初の予定を変更しての開催となりましたが、激戦が続くウクライナの隣国ポーランドにおいて、被爆資料の見学や被爆体験の聴講などを通して、核兵器が使用されれば、どのような結末になるのかを理解し、核兵器廃絶や平和の尊さへの思いを深めていただくことができました。
(平和記念資料館 啓発課)
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