和文機関紙「平和文化」No.215, 令和6年3月号

核兵器禁止条約第2回締約国会議
平和首長会議代表団を派遣

第2回締約国会議に出席して(所感)
会長 松井一實
会長 松井一實
  (まつい かずみ)
 今回の締約国会議においては、各国政府関係者等に対し、核兵器のない世界の実現に向けた歩みを共に進めるよう呼び掛けるとともに、平和首長会議の取組をしっかりと伝えました。
 また、会議への出席を通じて、改めて、核兵器は絶対に存在してはならないものであるとの思いを強固にし、今後は被爆者の平和への思いを受け継いでいく若い世代に焦点を当て、被爆の実相や核兵器の非人道性への理解を促進し、核兵器は二度と使わせないという決意を持ってもらうための取組に一層力を入れていきたいと考えています。
 現下の国際情勢は非常に厳しいものですが、このような中でこそ、高い理想を掲げてその賛同者を増やしていくことが重要であり、1万都市の加盟に向けて、平和首長会議加盟都市の拡大を更に図っていきたいと考えています。
 
 平和首長会議は、11月に米国・ニューヨーク市で開催された核兵器禁止条約第2回締約国会議へ松井一實会長(広島市長)、鈴木史朗(すずき しろう)副会長(長崎市長)、香川剛廣(かがわ たけひろ)事務総長(本財団理事長)を含む代表団を派遣し、同条約の実効性を高めるための議論を進めるよう要請し、具体的な核軍縮の進展を求めました。
 また、サイドイベントを開催し、核兵器のない平和な世界の実現に向けた気運を醸成しました。

核兵器禁止条約第2回締約国会議(一般討論演説)でのスピー

松井会長によるスピーチ
松井会長によるスピーチ
 松井会長は、鈴木副会長と共に平和首長会議の代表として発言しました。 核兵器を用いた威嚇が繰り返され、非核保有国と核保有国との間に不信感が高まっているという現実は、被爆者の核兵器廃絶への切なる願いを根底から打ち消しかねない事態であると指摘した上で、核兵器禁止条約の実効性を高めていく重要性に言及し、核兵器不拡散条約(NPT)と核兵器禁止条約が補完関係を保ちながら機能するための取組を進めるよう訴えました。 そして、平和首長会議が市民の平和意識を醸成し、あらゆる暴力を否定する平和文化の振興に邁進(まいしん)していくとの決意を表明し、各国政府代表者に対し、核兵器のない世界の実現に向けた歩みを共に進めるよう呼び掛け、スピーチを結びました。

国連・各国政府代表等との面会

 核兵器禁止条約の締約国であるアイルランド、カザフスタン、タイ及びオブザーバーとして参加していたオーストラリアの政府関係者と面会し、条約の実効性向上に向けた今後の取組や若者に対する教育の重要性等に関して意見交換を行うとともに、加盟都市の更なる拡大への協力を要請しました。
 その他、国連事務総長、核兵器禁止条約第2回締約国会議議長、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)事務局長及び米国下院議員とも面会し、意見交換を行いました。

主催行事等

平和首長会議及びICAN共同サイドイベントの開催
 「核兵器のない世界を求める市民社会の声」と題したICANとの共同サイドイベントを開催しました。
 ICANのパーク事務局長の開会挨拶から始まり、KNOW NUKES TOKYO の中村涼香(なかむら すずか) 代表が進行しました。
 被爆地からのメッセージとして、松井会長からの紹介を受けて、広島で被爆した箕牧智之(みまき としゆき)氏が自身や家族の被爆体験を証言するとともに、世界の為政者に対し、戦争をなくし核兵器廃絶を目指すよう訴えました。 続いて鈴木副会長からの紹介を受けて、長崎で被爆した朝長万左男(ともなが まさお)氏がスピーチを行い、核兵器禁止条約の成立過程に関与してきた経験に触れるとともに、世界市民として世界の結束に向けて取り組もうと呼びかけました。 そして、米国及びドイツの若者が取組発表を行った後、被爆者と若者の間で対話を行いました。
 最後は、平和首長会議の副会長都市である米国・デモイン市のフランクリン・カウニー市長が、閉会のスピーチで同市の取組を紹介すると共に、平和首長会議への協力強化を訴えました。
サイドイベントの様子
サイドイベントの様子
 
平和首長会議原爆平和展の開催
 同締約国会議の会期中(11月27日12月1日)、国連本部において、会議出席者や国連関係者に、広島・長崎の被爆の実相や核兵器の非人道性、平和首長会議の取組について理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆平和展を開催しました。
(平和首長会議運営課)
 
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